Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が12月2日、横浜ビー・コルセアーズ(同、横浜)を87-72で下した。
11月15日以来の試合となったこの日。前節「思うような試合ができなかった」(広瀬健太選手)中、バイウイークではチームのアイデンティティーであるディフェンスを見直したほか、オフェンスでは「個人ではなくチームで戦うこと」の確認などをしたという。
バイウイークの中で「調子を戻してきていた」ことから、伊佐勉ヘッドコーチ(HC)はこの日、ルーキーの盛實海翔選手を先発メンバーで起用。盛實選手は初の先発出場となったが「特に意識し過ぎずにいつも通りに準備して」試合に臨んだと言う。伊佐HCは最初のオフェンスを盛實選手がシュートを打つようデザイン。得点とはならなかったが「思い切り打って試合に入ろうと思った」(盛實選手)と武器の一つである3ポイント(P)シュートを放っていった。
練習時から「アタック、得点を取りに行くことを言われている」盛實選手。3Pが警戒される中、「ディフェンスとの駆け引きを見て積極的にドライブ(ドリブルでリングにアタックするプレー)に行くようにしている」と、この日は2本決めた。一方、ワイドオープンで3Pを放つ場面も数回あったが決めきれなかった。「自分のリズムで打っているつもりだが、周りからは『アーチが低い』などとは言われている。見直して、練習のように打てば入ると思うので自信を持って打ち続けるしかない」と話した。伊佐HCは「彼らしいプレーができるようにさせたい。彼の点数が伸びてこないと(ベンドラメ)礼生のプレータムが削れないので相当期待している」とも。
バイウイークに「いい練習ができた成果が出た」(伊佐HC)前半。リバウンドからの速攻でライアン・ケリー選手がファウルを誘発したりスチール(ボールを奪うプレー)をしたりし、そこからベンドラメ選手が3Pを決めるなど立ち上がりから良い流れをつくると、交代で出場した田渡修人選手もパスカットをし、広瀬選手はボールマンにプレッシャーを掛けパスミスを誘発するなど流れを引き継ぎ、第1クオーター(Q)から横浜にタイムアウトを取らせた。第2Q序盤には関野剛平選手がスチールにシュートブロックに連続で好守を見せるなど開始3分近く失点しなかった。オフェンス面ではゴール下でチャールズ・ジャクソン選手が強さを見せたほか、田渡選手がこの日2本目となる3Pを決めるなどチームで28点を挙げ、48-35で前半を折り返した。
第3Qには、ベンドラメ選手がスチールからの速攻で得点を挙げたりオフェンスリバウンドでつなぎケリー選手の3Pを演出したりアグレッシブさを見せたほか、野口大介選手は横浜のゾーンディフェンスに対しインサイドへアタックした直後にはパスカットを狙う姿も見せた。同Qでは最大19点差を付けるが、少しずつ点差を詰められる状況に伊佐HCは最終Q突入前に「5分で逆転されるぞ」と選手たちに声を掛けたという。ジャクソン選手のゴール下や田渡選手の3Pなどでリードを保とうとするが、オフィシャルタイムアウト時には3点差まで追い上げられた。伊佐HCは「俺は逆転されると言ったぞと、一言二言指示は出したがイライラしていた」と振り返る。
選手たちも状況を把握し「「出ている5人がしっかり引き締めなきゃいけないと共通認識を持って」(広瀬選手)ゲームに戻った。ケリー選手がミスマッチを生かし得たフリースロー2本を沈め、ジャクソン選手がゴール下で得点すると、ベンドラメ選手は横浜のパスをスチールしマイボールにした。直後のオフェンスでは広瀬選手が「前のプレーで(アシストしていた)CJ(ジャクソン選手)が警戒されているのが分かったので強く行ったら何か起こるのではと考え、(今季)練習しているしているステップ」でレイアップを決め、点差を9点に広げた。終盤は4分強横浜に得点を許さず勝利を収めた。
残り1分31秒でスローインのボールをスチールしかけた広瀬選手。キックボールの判定となったが、試合後、外国籍選手に「キックボールを取られなかったらダンクにいったんだろ」と言われ、「ウインドミル(ダンクの一種)するはずだったよ」と言葉を交わしたことも明かした。
この日は「毎試合隙があればいつでもやりたいと思っている」(伊佐HC)選手5人の全員入れ替えを3回したほか、リバウンド数は横浜を13本上回り、速攻からの得点も17点挙げるなどした。伊佐HCは「(点差を)詰められられた以外は、失点も今季の中では少ない方だし、チームディフェンスもバイウイーク前より良くなっている。オフェンスも各選手の良いところを出そうと意思疎通ができているので良かった」と評価した。
SR渋谷は次節5日・6日にホーム青山学院大学(渋谷区渋谷4)で新潟アルビレックスBBと戦う。