Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が11月14日、最大点差27点をひっくり返し名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(同、名古屋)に勝利した。会場は青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で、入場者数は制限付きで990人。
この日、27歳の誕生日だったエースでキャプテンのベンドラメ礼生選手。朝からチームメイトから「おめでとう」という言葉掛けられ、試合前のランチ時にはデコレーションされたフルーツの盛り合わせが贈られた。加えて、山内盛久選手からは、「いつも携帯の充電が無いから」とモバイルバッテリーとケースをプレゼントされたという。
試合の立ち上がりはミスもあったが、第2クオーター(Q)にはチームの得点が伸び悩む中、「タッチは良かった」と3ポイント(P)シュートとフリースローを100%の確率で決めチームを引っ張った。最終Qには、「名古屋のビッグマンが下がってディフェンスをしていたので、積極的に間合いを詰めて、ビッグマンが自分を守ってこなかったらレイアップにいき、守りに来たらパスをした。いい駆け引きができた」と、ドライブ(ドリブルでリングに向かうプレー)から得点やアシストを決める場面が見られた。残り31秒には、「打つには少し早いと思ったが、試合終盤にこんなワイドオープンになることは無いし、試合を通してシュートタッチも良かったので思い切り打った」と、逆転となる3Pを沈めた。
「勝って気持ちよく27歳をスタートしたいと思っていた」と言うベンドラメ選手。「結構お腹いっぱいの試合だったが(笑い)気持ちよく勝てたし(今までで)一番うれしい(誕生日になった)」と喜びを表現し、「練習でも試合でも昨日の自分よりうまくなりたいという気持ちでバスケットに取り組んでいる。その姿勢を継続し、優勝というかたちで自分の貫いてきたことを、やってきて良かったという実感を得たい」と抱負を語った。今年は東京オリンピックも控えているが「現段階では特に何も考えていない」とも。
伊佐勉ヘッドコーチ(HC)が「全くゲームになっていなかった」と振り返った試合前半。立ち上がりは7-0とリードするなど好スタートを切るが、ディフェンスが「全くできていない」とミスから走られて得点を許したり、3Pを連続で決められたりして名古屋の得点を抑えられず、オフェンスも停滞し21点差を付けられ前半を終えた。ファウルが混むという「課題」は克服できていたが、「インテンシティーレベルは相当下がりソフトなだけだった」と伊佐HCは指摘した。
「諦めて明日に備える」「残り20分チームでまとまって戦う」という2つの選択があったというハーフタイム。そこで全員が「戦うこと」を選んだ上で、3Q終了までに11点差、最終Q5分までに7点差に詰めることを目標に後半に臨んだという。
序盤にはミスが出てこの日最大27点差を付けられたが、タイムアウトを取り「ディフェンスから立て直す」ことを確認すると、スチール(ボールを奪うプレー)から連続で得点を挙げるなど好守が見られるようになる。徐々に点差を詰め、第3Q終了時には13点差まで詰め寄った。最終Qには、ジェームズ・マイケルマカドゥ選手がルーズボールを追うハッスルプレーを見せると、「勇気を与えてくれるプレーだったし、『次は自分が』と思えた」とライアン・ケリー選手はタフなシュートや3Pをバスケットカウント(得点+フリースロー)で決めるなど連続得点を挙げ点差を詰め、残り約6分30秒にはスチールからの速攻で試合を振り出しに戻した。以降は拮抗(きっこう)した展開が続くが、残り31秒のベンドラメ選手の3Pで一歩抜けだし、マカドゥ選手がブロックショット(シュートブロック)を見せ、残り20秒にフリースローを得た関野剛平選手が2本しっかり決めきり88-84で勝利。連勝を5に伸ばした。
この日は、外国籍選手がスローインのボールをスチールするシーンが複数回見られた。伊佐HCは「今季は(外国籍選手が)3人ベンチに入れて、プラス野口(大介選手)もいるので疲れたらすぐに代えられる。(外国籍選手にも)ディフェンスを求めているのでしっかりやってくれた」と評価した。
今季最大の点差を逆転したこの日。SR渋谷はこれまで、接戦に敗れたり2桁点差を逆転し勝利したりタフな試合をこなしてきた。伊佐HCは「大きな勝ちだった。ここ数試合で成功体験ができ、ディフェンスさえすれば立て直せる、一つひとつやればどうにかなるという気持ちでやっていたのでは」と言い、ケリー選手は「(これまでの)経験とチームメイトそれぞれのプライドが諦めない姿勢につながった」と続けた。ベンドラメ選手は「小さな課題を課して、それに向けて我慢してやり続けたことが良かった。ただ勝つより2倍3倍価値のある勝利」とも。
両チームは15日も同所で戦う。