渋谷区は11月12日、スタートアッップコンソーシアム「Shibuya Startup Deck(シブデック)」を設立した。
区が基本構想の中で掲げる産業振興分野のビジョン「ビジネスの冒険に満ちた街へ。」に基づく取り組み。今年1月、スタートアップ・エコシステムの構築や渋谷区の国際化に向けた組織体制強化のため新部署「国際戦略推進担当」を立ち上げた。6月には、新型コロナウイルス感染対策として新たな生活様式が求められる中、スタートアップ企業や大学、研究機関などから技術やアイデアを募集するプロジェクト「Innovation for New Normal from Shibuya」をスタート。海外のスタートアップ企業向けにオンラインのワンストップセンターの準備も進めるなどしてスタートアップ支援事業を推進している。
「Innovation for New Normal from Shibuya」にはこれまでに約100社(うち海外約10社)から応募があり、第1弾として教育や子育て支援、介護福祉、アートなどの分野12社のアイデアを採択するなど、企業との連携が始まっている。今回、さまざまなプレーヤーとの連携のハブとしてコンソーシアムを設立。シブデックを通して、一行政・一企業・一個人だけではできない取り組みや連携により効果の最大化を図る。
「Deck」にはスケートボード・プラットフォーム・プレゼンテーションという意味がある。スケートボードは「誰でも気軽に始められるスポーツ」であり、「何度転んでも挑戦する姿はスタートアップ企業の姿にも似ている」ことから命名。渋谷発のスタートアップ企業が「世界に羽ばたくように」という願いを込めた。
「それぞれの豊かさを実現する街」をビジョンに掲げ、「既存の考えに縛られず」さまざまな挑戦をする企業と、街に根ざした取り組みで課題解決していくことを目指す。具体的には、失敗を恐れずに挑戦できる「共助のある」コミュニティーづくり、不動産や銀行、弁護士などのインフラ整備、街を実証実験の場とする社会実装支援、国内外のスタートアップの誘致や連携を行うなどグローバル化に取り組んでいく。
組織体制はピラミッド型ではなく、横並びのチームとして連携する「ホラクラシー型」の考えを導入。全体のビジョンコンセプトは事務局内のガバナンスミーティングなどで検討し、組織の方向性を決めていく。チェアマンには元通産官僚で大学教授の鈴木寛さんが就任したほか、バイスチェアマンに長谷部健渋谷区長が就く。幹事会員は渋谷区やNTTドコモ、ケイスリー、渋谷未来デザイン、東急、みずほ銀行など10社・者。
東京は国から「スタートアップ・エコシステムの拠点」として選定されている。長谷部区長は「東京を引っ張るのは渋谷区でありたい。先頭を切ってグイグイやる心意気でいる」と意欲を見せる。渋谷区の強みとして「特にIT系企業は多くエンジニアもいるし、学生もいるし、アートやクリエーティブ分野も多い」ことを挙げ、そういう人たちが混じり合って面白いアウトップトが生まれてくれば」と期待を込める。
今年度は組織を固め、来年度以降、具体的な取り組みを検討・実施していく。