都市フェスティバル「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA（ソーシャルイノベーションウィーク渋谷）2020」（以下SIW）のオープニングセッションが11月9日、行われた。

　2018（平成30）年に初開催されたSIWは、渋谷区と日本財団（港区）が2017（平成29）年10月に締結したソーシャルイノベーションに関する包括連携協定に基づき開催。これまでに、けん玉やBMXなどストリートスポーツの振興とマナー啓発を目的にしたU-15（中学生以下）を対象にした「Next Generations」などを実装。配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」を開設した渋谷5GエンターテインメントプロジェクトもSIWから生まれた取り組みとなる。

　コロナ禍での開催となった今年は、生活様式や価値観が変わる中、どのように働き、暮らすのかなどを考えながら未来を創造し、新しい価値を生み出したりアクションを起こしたりするため、「HOW」をテーマに掲げた。期間中、社会を「良い方向に」導くアイデア・企画を表彰する「Award」、トークセッション「Conference」、参加する人が交流できる機会を提供する「Networking」、体験プログラム「Experience」の4つのプログラムを展開する。

　今年新たに立ち上げた「Award」は、今年のプログラムで学んだヒントを生かしたアイデアを募集し、2021年に表彰。来年のSIWで実装していく。Networkingは、区が再整備を進める笹塚・幡ヶ谷・初台エリアで活動する人や同エリアに関心のある企業・クリエーターたちの交流を目的としたミートアップイベントなど27プログラムを展開している。

　9日に始まったカンファレンスは5日間で39プログラムを展開し、96人の有識者が登壇する。ファッションPRなどを手掛けるワンオーの松井智則社長らが登壇し「産業」「文化」「思想」の視点でファッションを語る「ファッションカルチャーの未来図」、澤田伸渋谷副区長や渋谷再開発協会・横山和理常務理事らが登壇するシンポジウム「渋谷再開発計画’70 50周年 これからの渋谷を考える」、ダンサーで振付師のFISHBOYさんらが登壇しダンスの可能性などを語る「ストリートの未来」など、テクノロジー、社会課題、スポーツ、ダイバーシティーなど幅広いジャンルのトークセッションを予定する。

　コロナ禍の中、「どう作っていくかが一番難しかった」というのが、リアルの街なかで展開するエクExperience。一部のイベントの規制が緩和される中「（イベントを）待ち望んでいる声が大きいと感じ」実施することを決め、安全対策やマニュアル作りなどやり方（＝HOW）を考えたという。渋谷横丁（MIYASHITA PARK内）で行うナイトタイムエコノミーを考えるイベント、プロ選手などを招くeスポーツのエキシビション大会（ヨシモト∞ホール）など。宮下公園では、古着のポップアップストア、古着のファッションショーを予定。宮益坂（歩道）では、コロナ禍における路上利用の実証実験を行う。

　エグゼクティブプロデューサーの金山淳吾さん（渋谷区観光協会代表理事）は「皆で学んで考えて、新しいプロジェクトを生み出していける1週間になれば。今回のSIWを通じて、新しい『I am』を発見してほしい。これまでの自分の延長上に自分の未来を考えるだけでなく、新しい自分を発見して新しいチャレンジに向かうきっかけになれば」と期待を込め、プロデューサーの長田新子さん（渋谷未来デザイン理事）は「SIWを通じて知らないことを知って、そこに足を踏み込んでみることや一緒になって認め合うことができたら」とも。

　SIWの発起人でもある長谷部健渋谷区長は「具体的なアウトプットもでてきているので順調だと思う」と評価しつつ、「コロナ禍で新しいイノベーションも期待されているので、その背中を押していくようなきっかけとなる年になれば」と期待を込め、「アクティブにイノベーションを起こしながら、街づくり・社会づくりのメッカのような場所になりたい。区としてはこの街のリソースを、渋谷に思いのある人たちと共有して掛け合わせていきたい」と話す。

　会場は「スクランブルホール」（渋谷スクランブルスクエア内）、「CE LA VI」（東急プラザ渋谷内）、渋谷パルコ、渋谷区立宮下公園、ヨシモト∞ホ―ル、バーチャル渋谷など。会場では入場人数を制限し、一部コンテンツはオンライン配信も行いアーカイブも残す。参加無料（無料観覧チケットの申し込みが必要）。今月15日まで。