Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が11月7日、京都ハンナリーズ(同、京都)を75-63で下した。会場は青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で、入場者数は制限付きで912人。
試合の立ち上がりが課題の一つだったSR渋谷。この日は、「ディフェンスのチーム」であることから「最初の5分、ディフェンスで流れをつかもうと話していた」(ベンドラメ礼生選手)と言う言葉の通り、ターンオーバーを誘発する場面も見られ、ディフェンスから速攻を仕掛ける「(自分たちの)スタイルが表現できた」(同)と、第1クオーター(Q)から9点のリードを奪った。第2Qには、渡辺竜之佑選手がリバウンドから積極的に速攻を仕掛けチャールズ・ジャクソン選手のダンクを演出したほか、ベンドラメ選手のスチール(ボールを奪うプレー)からライアン・ケリー選手のアリウープダンクなど豪快なプレーも見られた。
第2Qに最大17点リードを奪ったが、京都がゾーンディフェンスを織り交ぜてくると、「シュートを打てているけれど入らない」(ベンドラメ選手)場面が目立つようになり、リバウンドを取られ、「走られて簡単に決められ」(同)点差を詰められた。最終Q立ち上がりで逆転を許した場面で伊佐ヘッドコーチ(HC)が投入したのは関野剛平選手。「ディフェンスを求められているので、失点しないように」とコートインすると、ポイントガードにしつこくディフェンスをし、逆転となる得点を生み出し反撃ののろしを上げる。
64-63で迎えたオフィシャルタイムアウト明け、ベンドラメ選手はゾーンに対し「ボールが回ってきたら思い切り打とうと思っていた」と3Pを沈めると、直後の攻撃では「ゾーンを組まれると自分たちのスピード感のあるオフェンスができないのでアタックしたい」とドライブ(ドリブルでリングに向かうプレー)を仕掛け得点し、京都にタイムアウトを取らせた。ベンドラメ選手は「気持ちを表に出すことでチームが勢いに乗れる大事な場面だと思った。ベンチにいる選手含め波に乗れるように」と声を上げ気迫を見せた。その後も得点を重ねるとともに、「正しいディフェンスの強度を保ちながら、タフショットを打たせた時の課題であるディフェンスリバウンドを取る意識があった」(伊佐HC)と、約6分間、京都に追加点を許さず勝ち切った。
「ディフェンスを頑張っていたら、気づいた時には逆転していた」と言う関野の選手は、残り1分30秒で3つ目のファウルをコールされ交代となった。「(集中していて)あまり聞こえていなかった」と言うが、場内のファンからは大きな拍手が送られた。主に、オフェンスの起点となる寺嶋良選手や得点能力の高いレイヴォンテ・ライス選手に付く役割を担っていたこの日、「この2人を止めれば、京都の速攻や流れのいいかたちでのシュートが無くなると思っていた」と言い、寺島選手もライス選手も「右(から攻めるの)が得意だったので、(左に行かせるように)意識して守っていけたのは良かった」と振り返る。
ポイントガードとマッチアップすることも多いため、スクリーンを掛けられることが多い関野選手だが、当たり負けしない体幹の強さも目を引く。「当たっても崩れない、負けて遅れないように意識している」と言う。昨季終了後のオフは北海道で漁業を営む実家に帰省し、新型コロナウイルスの影響でトレーニング場などが開いていない中、「忙しい時期で手伝っていたら体幹が鍛えられた(笑い)」とも。
伊佐HCは、関野選手、広瀬選手、渡辺選手の名前を挙げつつ、「今シーズン初めてディフェンスで勝った試合」と評価。ベンドラメ選手も「総じていいディフェンスだった」と手応えをうかがわせ、「リードしていて詰められるときはプレッシャーも感じるが、粘り強くプレーしカムバックして逆転勝ちしたのはいい経験になる」と話した。
両チームは8日にも同所で戦う。関野選手は「寺島やライス、キーマンに付くと思うので、1点でも取らせないように固くディフェンスしていきたい」と意欲を見せる。