ビンテージマンションとして知られる「秀和レジデンス」シリーズ第1号となる渋谷・並木橋交差点近くの分譲マンション「秀和青山レジデンス」(渋谷区渋谷3)が建て替えられる。
マンション黎明(れいめい)期に建設された同マンションは、「秀和レジデンスシリーズ」第1号物件として、1964(昭和39)年に建てられた。設計は建築家・芦原義信で、地下1階~地上8階建て。敷地面積は1926.47平方メートル、延べ床面積は約9457平方メートル。
築56年がたち、設備配管の劣化・漏水、断熱・遮音性の不良など修繕・改修では「抜本的な改善が困難」なほど老朽化が進んでいるほか、耐震性の不足などの問題から2014(平成26)年ごろから建て替えを検討。
2016(平成28)年に建て替え推進決議が成立し、翌年には野村不動産(新宿区)と旭化成不動産レジデンス(千代田区)が事業協力者として参画も決まり、「早期建て替えの実現」に向けて事業推進活動を進めていた。
昨年10月、区から「除却の必要性に係る認定」(耐震性不足の認定)を受け、今年1月に建て替え決議が可決承認され、9月にマンション建替組合を設立した。今回の建て替えは、区では初となる「マンション建替法に基づく容積率の特例緩和制度」を利用。同制度は、公開空地・地域防災・環境貢献などに配慮し、「市街地環境の整備改善に資するもの」に容積率が緩和される制度で、都市計画上の容積率500%から655.40%(約155%)に割り増すことが可能となった。
新しく建設するのは地下2階~地上26階建て、延べ床面積1万9037.39平方メートルのマンション。八幡通りとの交差点となり歩行者も多い敷地南東側交差点部分には広場のような空地を、敷地内には拡幅した歩道のような空地を設け歩行空間を、それぞれ設けることで「回遊性を高めるまちづくり」を目指す。敷地北西側には緑や水盤を用意した空間も設ける。
2021年8月に解体に着手し、2025年2月の完工を予定する。