Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が10月10日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で千葉ジェッツ(同、千葉)と戦った。観客数は制限付きで1477人。
残り5秒で同点に追いつくシュートを決めたライアン・ケリー選手
同窓や同郷、同級生など共通点のある選手も多く、試合前には多くの選手が言葉を交わす姿が見られた両チーム。6年所属していた千葉から昨シーズンSR渋谷に移籍した石井講祐選手は「長く一緒にプレーした選手もいるので、そういう選手と対戦するのは楽しい」と話す。
試合の立ち上がりは千葉に連続で3ポイント(P)シュートを許すビハインドスタートとなるが、スチール(ボールを奪うプレー)などディフェンスからリズムを作ったほか、野口大介選手や田渡修人選手らがライン際のボールを追い掛け、オフェンスをつなぐハッスルプレーも見せる。渡辺竜之佑選手は途中出場直後から連続でスチールしたほか、オフェンスリバウンドにも積極的に飛び込んだ。第2クオーター(Q)開始直後には再び渡辺選手がスチールし速攻を仕掛けファウルを誘発する場面も見られた。同点で迎えたオフィシャルタイムアウト明け、SR渋谷は選手4人を入れ替えると、コートインした選手たちが躍動。ブロックショットやスチールで千葉の攻撃を抑えつつ得点を重ね、一時、10点差を付けた。
伊佐HCが「もったいなかった」と振り返った第3Q序盤、千葉が得意とするリバウンドから走られるシーンが続き逆転を許す。そのタイミングでコートインしたベンドラメ選手が「トランジションを止めることを意識しよう」と声を掛けディフェンスを再確認すると、千葉のミスを誘発したほか関野剛平選手がスチールからレイアップを決めるなど再びリードを奪った。同Qを「勝敗の分かれ目」と挙げたベンドラメ選手は「トランジションの早いオフェンスをやらせないことがポイント」と話した。
互いに譲らない展開となった最終Q、残り53秒で5点を追う展開となるが、チャールズ・ジャクソン選手がオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスでバスケットカウント(得点+フリースロー)を奪い、フリースローも沈める3点プレーを見せると、残り約20秒、ボールを持った千葉のシャノン・ショーター選手に対し渡辺選手がしつこくディフェンスし、シュートミスを誘発。直後のオフェンス、残り5.5秒でライアン・ケリー選手が倒れ込みながらもジャンプショットを決め同点とした。ラストプレー、千葉は富樫勇樹選手の1対1からSR渋谷のディフェンスが寄ってきたところでギャビン・エドワーズ選手にパス。シュートがリングに吸い込まれると同時に試合終了のブザーが鳴り響き、91-93でSR渋谷は惜敗した。ベンドラメ選手は「富樫で来るという話はしていた」と言い、「僕たちは自分たちの作戦通りディフェンスできた。彼がすごかったと言うしかない」と振り返った。
先週に引き続き接戦となったこの日、伊佐勉ヘッドコーチ(HC)は試合後「クロスゲームを落とし非常に疲れている」と吐露。「チームで走ってくる」千葉に対し、「トランジションを止め、ハーフコートディフェンスで守り、リバウンドを取り切るまで」を意識。「できている時間は多かったが、勝ちきるまであと少し、しっかり突き詰めていきたい」と話す。リバウンドを課題の一つに挙げていたが、「ビッグマンに頼らず全員で(リバウンドを)取りに行こうと話していた。今日は特に日本人選手がハッスルしていた」と評価した。
ベンドラメ選手は「リバウンドも取れているし、いいバスケットはできている。先週よりもいいチームになっている実感があるし、あと2つ3つのプレーで勝てると思っている。選手たちは誰も下を向いていないので、後は勝利するだけ」と力を込める。
両チームは11日も同所で戦う。この日はSR渋谷のマスコット「サンディー」の誕生日。石井選手は「サンディーに勝利をプレゼントするためにも頑張りたい」と笑顔を見せる。