渋谷駅南口の渋谷中央街で9月25日、飲食店が道路上に席(テラス席)を設けて営業する「渋谷中央街ストリートテラス」が始まった。
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店などを支援する緊急措置として国土交通省が6月に発表した、道路占用の許可基準の緩和を受け行う取り組み。屋外に席を設けることで「3密」の回避を図る。渋谷区内では初の事例となる。
オフィスが多いエリアに位置する同商店街は、仕事帰りに飲食店を利用する人が多く、特に緊急事態宣言発令中は「ゴーストタウンのようだった」(渋谷中央街本間誠理事長)という。飲食店関係者からは苦しい状況を耳にし「街としてできることがないか」と考えていたという。
そうした中、商店街では国土交通省の発表からほどないタイミングで区に相談。渋谷区や警察に道路占用・使用許可を申請、保健所に営業許可の変更を行い実施に至った。路上利用には一定の歩行者用動線を確保するなどルールがあるが、同商店街では車両の進入禁止時間を定める「ファミリータウン規定」という独自のルールを設けていることから、当該の時間に合わせて実施することで歩行者用同線も確保する。
参加するのは、たこ焼き「くれおーる」、ラーメン店で居酒屋の「大島ラーメン」、焼き鳥とうなぎの「鳥竹」、海鮮料理「むつ湊」、バール「プロント イル バール」、ワインバー「IZAKAYA VIN(ヴァン)」、焼き鳥店「やきとり山家(やまが)」、居酒屋「恋文酒場かっぱ」など27店。テラス席は、各店舗の店頭スペースに合わせテーブル1卓~5卓を用意する。テーブルには区章や「渋谷中央街Street Terrace」の文字などをデザインしたステッカーを貼っている。「大島ラーメン」の岡田理店長は「(店頭で)わいわいがやがや活気づいてくれた方が店の宣伝にもなる。(新型コロナの影響は)すごく大きかったので、だいぶ期待している」と話す。
参加店は商店街加盟店舗を対象にしている。本間理事長は「この取り組みを行ったことで、今までに無かったつながり感、仲間でやっている感覚を得た。店の人の顔を知れ、商店街に加盟してくれた店もあり、いろいろな意味でいいきっかけになった」と振り返る。「(参加各店が)決められたルールを守りコロナ対策を徹底した上で、新しい飲食のかたちを商店街街全体で取り組んでいく。新しいスタートだと思うので、1人でも来街者が増えれば」と期待を込める。
実施時間は17時30分~24時(日曜・祝日は12時~)。11月30日まで。区には他の商店街からも相談が持ち込まれているといい、今後同様の取り組みが始まる見込み。