渋谷の文化をけん引してきた区内のエンターテインメント・ファッション・飲食業界などを支援するクラウドファンディング「YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング」が9月6日に終了し、目標金額を超える4,477万2,735円の支援が集まった。
渋谷区、渋谷区商店街連合会、一般財団法人渋谷区観光協会、一般社団法人渋谷未来デザインが実行委員会を立ち上げ、7月21日から実施していた同クラウドファンディング。集まった支援金と区が拠出した1億円で、新型コロナウイルスの影響を受けた区内の店舗やカルチャーの支援を図る。目標額は渋谷区にちなみ4,289万円に設定し、終了日前日の5日に突破した。
クラウドファンディングの支援金と区の財源を活用し、リアルとデジタルの両面で「街をアップデート」することで、区内に現在約1万いるという飲食・理美容・文化産業を担う事業者を支援していく。リアルの支援では、区内の店舗型事業者に感染予防対策関連の備品を提供するほか、消毒作業費の負担など有事の際のサポート体制をつくる。同時に、今後の第2派・第3波、その他災害時に速やかなサポートができるよう、区内事業者の所在情報の一元データベース化も進める。
エンターテインメント業界の支援としては、区内の文化施設やライブハウスへのオンライン配信環境整備をはじめ、ライブ配信の映像演出などのサポート、集客・物販などアーティスト活動に関するさまざまな要素を包括的に賄えるサービスの支援を目指す。その際は、動画配信サービス「サブスクLIVE」など既存のサービスや企業との連携も視野に入れる。加えて、独自の配信プラットフォームの構築、配信する映像制作・企画の支援、区公認の仮想空間「バーチャル渋谷」などのデジタル空間と区内の文化施設などのリアル空間を並行して活用できるようにするなど、エンターテインメントコンテンツを発信する場を増やしていくという。区内の文化施設、ライブハウス、クラブなどに加え、そこを利用するアーティストや興行主催者も支援対象となる。
ファッション業界向けの支援として実行委員会は、渋谷・原宿エリアで10月に予定するファッションイベント「SHIBUYA HARJUKU FASHION FESTIVAL(渋谷原宿ファッションフェスティバル、通称シブハラフェス)」と連携。会期中に、タレントやアーティストとして活動する「りゅうちぇる」さんがプロデュースするオンラインファッションショーを行うほか、ショーとも連携するECサイトの開設も予定する。区内のファッション(物品販売)店舗や、渋谷のファッションカルチャーを発信するデザイナー、モデル、スタイリスト、ヘアメーキャップアーティストなどが対象となる。
9月下旬には、コロナ禍における事業の継続・成長をサポートするツールの使い方などを動画でレクチャーするビジネスサポートオンラインプログラムも開始する予定。同プログラムは区内に限らず誰でも見ることができるようにする。
最終日となった6日、フェイスブックライブでカウントダウン生番組を配信した。クラウドファンディングのプロジェクト名でもある「YOU MAKE SHIBUYA」は、区の基本構想を進めるためのキャンペーンスローガンとして2016(平成28)年から発信している。澤田副区長は「渋谷はこの街を愛する人たちで渋谷という街が作られていることを象徴的に表現した言葉。4・5年使ってきたが、クラウドファンディングを通して、この言葉の本当の意味が新しいスタートラインに立てたのかなという気持ちを強くした」と振り返った。
長谷部健渋谷区長は「YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング、皆さまのおかげで目標金額を達成できた。皆さまの応援と関わった方々の熱い熱いこの思いを受け取って、しっかりと渋谷の街を支えているエンタメや飲食業、さまざまな文化発信をしてきた皆さまの背中を押すような施策に役立てていきたい。これからも一緒になって渋谷区を盛り上げていただけたら」とコメントを寄せた。
渋谷未来デザイン理事で事務局次長の長田新子さんは「日々状況が変わって、こういうプロジェクトをやる難しさ、渋谷の愛を感じることが多かった。支援していただいた方は仲間」と振り返り、渋谷区観光協会代表理事の金山淳吾さんは「(渋谷は)日本のアイコン的な街だと思っている。この街が元気になっていく背中を見せ、いろいろな自治体が自分たちの街もやれるんじゃないかと和が広がっていくことで、日本全体がこの難局を乗り越えていくような一つの流れができるのでは。目標金額を達成してホッとしているが、途中本当にドキドキした。今日が終わりではなく、(これから)この資金を生かして社会サービスを実装していく」と話した。