秋田・大館に移設が決まっている渋谷・ハチ公前広場のモニュメント「東急5000系車両(愛称=青ガエル)」に7月10日から、「ありがとう」の思いを込めたラッピングが行われている。
2006(平成18)年10月から設置されている同モニュメント。100年に一度と言われる大規模再開発が進む渋谷駅周辺で、今後の運用などが模索されてきた青ガエルの新たな活用を目指し移設される。大館市と渋谷区は、忠犬ハチ公像のモデルとなった秋田犬・ハチの生まれ故郷が同市であることから、2001(平成13)年に防災時における協定を結ぶなど都市間交流を行ってきた縁がある。
当初は5月下旬から6月上旬にかけて、ハチ公前広場から搬出・運搬・移転し、7月の供用開始を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となっている。
今回のラッピングは、渋谷区観光協会の専属デザイナー大橋祥さんがデザインしたパネルを車両の窓に内側から貼っている。正面には、東急電鉄へのヒアリングを反映し、当時運転していた運転士と表示看板を「再現」。側面の窓には、渋谷と大館の駅看板をイメージしたデザインや、電車に乗って渋谷に訪れる多様な人たちの姿、大館に向かう青ガエルを見送る人たちの姿を描いた。背面には、優先席に座る人や、観光協会のスタッフの後ろ姿と共に「青ガエル、ALWAYS BE TOGETHER」のメッセージを掲出した。
同車両は、東急電鉄が運用終了後に保存していた車両を渋谷区が譲り受け、半蔵門線・田園都市線の出入り口付近に設置。車両は1954(昭和29)年に製造され、16年にわたり渋谷~桜木町間を走行した東急5000系の先頭車。緑色の塗装と丸みを帯びた愛嬌(あいきょう)のある外観から「青ガエル」として親しまれた。全長11.22メートル、重さ約11トン。
当初は青少年育成活動の拠点として活用し、2013(平成25)年6月からは渋谷区観光協会が同所を拠点に外国人旅行者向けの観光案内所「青ガエル観光案内所」を運営していた(新型コロナウイルスの影響で休止)ほか、広場の待ち合わせ場所にもなってきた。
移設先は、大館駅前に昨年5月にオープンした市観光交流施設「秋田犬の里」の芝生広場南側を検討し、交流拠点となるモニュメントとして、ハチを中心に渋谷と大館の歴史の移り変わりなどを紹介。座席シートは施設来場者の休憩場所として開放する予定。
移設日は非公表で、ラッピングは移設日まで行う。