ライブ配信のために制作された舞台「プレイタイム」が7月12日、Bunkamuraシアターコクーン(渋谷区道玄坂2)からライブ配信される。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、座席数を減らして上演するなど「集客が難しくなっている」劇場や舞台公演。NTT東日本の協力で行う今回の公演は、ICTを活用した自宅での新しい文化芸術の楽しみ方を提案することで新たなファンの開拓を図るとともに、オンライン配信で発表の機会を増やし興行収入を確保することで文化芸術分野のさらなる振興を目指すという。
臨時休館から約4カ月ぶりとなる同劇場での公演で、初のライブ配信となる今回の舞台は、男女の思いがすれ違っていく様子を描く今年生誕130年を迎える劇作家・岸田國士(くにお)の短編「恋愛恐怖病」をベースとした同作。「ライブ配信のための演劇」をコンセプトに新たに制作した作品で、普段は見ることができない機構や空の舞台、舞台裏、スタッフも作品に取り込むなど、「劇場観劇では体感できなかった」新たな演出を加えて上演・配信する。
出演するのは俳優でダンサーの森山未來さん、女優の黒木華、ダンスカンパニーBaobabを主宰する北尾亘さん。7人のミュージシャンが生演奏する。
森山さんは「チャレンジングなことに呼んでもらっているという期待もあるし、実際に劇場を使う作品になると聞き、ようやく劇場に行けるという喜びもあった」と出演の喜びを表現し、「今後、映像でも映画でも演劇でもない、こういったメディア表現が、もしかしたら定着していくかもしれない」とコメント。
「まず劇場を使って何かができることのありがたさを感じた」と言う黒木さんは「今回は舞台で作り上げたものを映像として完成させ届けることを目指しているので、客席に座っているような感覚で見ていただけたら。また、これまで劇場で舞台を見たことがない方には舞台は座席の感触や照明など、空間を一緒に体感することも楽しみの一つなので、今回のライブ配信を通じて『いつか生で舞台を見てみたい』と思っていただけるように頑張ります」とコメントを寄せる。
配信メディアは「Streaming+」。19時30分開演。鑑賞料は2,500円。劇場を運営する東急文化村とNTT東日本は、舞台公演だけでなく音楽や美術作品など文化芸術全般でオンライン鑑賞向けコンテンツの制作やなどに向け、今後も連携して取り組んでいく。