配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」が5月19日、バーチャルSNS「cluster (クラスター)」にオープンする。
KDDI(千代田区)、一般社団法人渋谷未来デザイン、一般財団法人渋谷区観光協会が主幹事業者となる「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」の企画。同プロジェクトでは、IT企業が多く点在し「カルチャーの発信地」である渋谷を舞台に、5G時代に体験できるエンターテインメントコンテンツの提供を図っている。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、経済や文化などさまざまな活動が制限され、渋谷のにぎわいも息を潜めている中、先端テクノロジーを活用し「カルチャーを発信し続ける」ための「もう一つの渋谷」としてオープンする。
撮影した映像などを基に3Dモデリングした「バーチャル渋谷」は、渋谷駅前からSHIBUYA109前までのエリアを制作。ユーザーは自身のアバターで街を歩いたり、開催されるイベントに参加したり、拍手などのリアクション表現などができる。
19日(19時~19時45分)には「バーチャル渋谷」内のステージで、オープニングイベント「#渋谷攻殻NIGHT by au 5G」を開催。当日は、渋谷未来デザインの「フューチャーデザイナー」を務めるタレントの若槻千夏さん、バンドSEKAI NO OWARIのDJ LOVEさん、ライブストリーミングスタジオ「SUPER DOMMUNE」代表の宇川直宏さん、バーチャルライバー(VTuber)アンジュ・カトリーナさんが出演し、トークを展開する。イベントはユーチューブなどでも同時中継する。
今月31日まではアニメ「攻殻機動隊SAC_2045」とコラボ予定。渋谷の街並みに同作の世界観をかぶせた近未来的な空間となり、SHIBUYA109前には「攻殻機動隊」シリーズの系譜やキャラクター設定画、多脚思考戦車「タチコマ」フィギュアなど展示コンテンツも用意する。6月以降は、リアルな渋谷の街並みを再現した空間となる。
今後は、「バーチャル渋谷」で回遊できるエリアを広げていくほか、プロジェクトに参画する企業(現在50社)とのコラボレーションや、アーティストのライブやトークショー、アート展示などのオンラインイベントを開くなどコンテンツを拡大していく。
リアルな渋谷の街とも連携していく予定で、夏には、これまでリアルな渋谷の街なかで展開していた「ARアート」などを「バーチャル渋谷」上でも、同じ場所・コンテンツで表現する「デジタルツイン(ミラーワールド)」を構築する。新型コロナの収束後は「バーチャル渋谷」で増やしたコンテンツを実際に渋谷の街の同じ場所に展開することも考えているという。11月には「バーチャル渋谷」を渋谷区共催事業「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA2020」の都市型イベント会場としても活用予定。
KDDIのパーソナル事業本部サービス統括統括本部5G・XRサービス戦略部長の繁田光平さんは、新型コロナの影響で「(渋谷のカルチャーの発信)そのものが止まっているのが非常にまずい」と危機感を示し、「(バーチャル渋谷に)集まってカルチャーを発信し続けることで渋谷に興味を持っていただき『ウィズ・コロナ』を乗り越え、『アフター・コロナ』のタイミングには、これまで以上にリアルの渋谷に来るともっと楽しくなる、ニューノーマル(新たな常態)な時代における新しい渋谷につなげていきたい」と話す。「リアルDX(デジタルトランスフォーメーション)としてやってきた5Gのプロジェクトにネットが合わさることで『アフター・コロナ』の時代を作り上げていくことが大事なポイント」とも。
クラスターの利用は無料。パソコンやスマートフォン、VRデバイスで利用できる。