5月11日に都内で初の真夏日を記録するなど、気温や湿度上昇とともに食中毒の発生も懸念されるようになってきた中、渋谷エリアの企業が飲食店のテークアウト調理の注意点を記したチラシを無料公開するなどの取り組みを始めている。
食専門の出版社「柴田書店」(文京区)に勤めていた浅井裕子さんが独立起業し、業務用食材販売「渋谷の八百屋 アネモス青果プロ」や、業務向けの食やサービスに関する従業員教育・技術指導などのカリキュラム企画・開発などを手掛けてきた「anemosu」(渋谷区道玄坂1)は、新型コロナウイルスの影響で飲食店が次々とテークアウトやデリバリー販売に踏み切る中、飲食店向けに調理の注意点を分かりやすくまとめたチラシを4月、ネット上で無料公開。チラシの反響を受け、啓発・支援の一環としてキャンペーンサイト「STOP食中毒」も立ち上げた。
「飲食店での調理と、テークアウト・中食での調理にはノウハウに違いがある」ことを前提に、「衛生面での管理と経時劣化対策はテークアウトの要。食材の組み合わせや温度管理などに不安のある事例が見られる」などと具体的な注意点も考慮しながら、チラシには、「常温で置かない」「加熱したら急冷却する」などの温度管理から、「刺し身、半生の卵料理は入れない」「生野菜、フルーツはそのまま入れない」など個別の食材の扱いに触れたもの、土が付いた野菜には菌が無数にいることからシンクや包丁、作業する人を分けるなどの細かい注意点まで8項目を記した。
流通・サービス店舗のアウトソーシング事業を展開するインパクトホールディングス(渋谷2)グループでデジタルサイネージを中心とした店頭販促サービスを手掛けるimpactTV(同)は、飲食店や食品工場、医療施設などの手洗い場に、自動で起動し手洗い動画を流す小型サイネージを発売。動画終了前に手洗い場から離れると警告するなどして衛生管理に役立てる狙いで、1セット3万9,800円(税別)で販売している。
IT関連のサービスでは、事業所向け給食大手の日本ゼネラルフード(名古屋市、NGF)が、ワークスモバイルジャパン(神宮前1)が提供するビジネス版のLINE「LINE WORKS」を導入。各拠点の従業員ら1800人にLINE WORKSをインストールしたタブレット端末を配布し、これまで主にパソコンを用いメールなどで共有してきた食中毒警報・注意報などの情報をタブレットで共有し、未読・既読状況を確認するなどしてフォローアップを強化し、業務効率の改善につなげる狙いだ。
農林水産省では、食中毒防止に向けて、調理済みの食品は持ち帰り後早めに食べることや、小分けでの冷蔵保存、手洗いの徹底などを呼び掛けている。