新型コロナウイルス感染拡大により緊急事態宣言の発令から一夜明けた4月8日、渋谷の待ち合わせスポットとして知られる「忠犬ハチ公像」が、静かに「記念日」を迎えた。
「忠犬ハチ公銅像像維持会」などがハチの命日から1カ月後に当たる4月8日に制定した「忠犬ハチ公の日」には例年、像の前で慰霊祭を開催。街のシンボルとして人気の観光スポットにもなっているハチ公像が「安心安全」に保たれるよう祈願することなどを目的に、1936(昭和11)年から80年以上にわたり式典が開かれてきたが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、限られた関係者らにより像の首に花輪を掛ける献花などが行われるにとどまった。
渋谷駅周辺では、東京都から週末の外出自粛要請が出された3月28日以降、普段は待ち合わせなどで多くの人が集まるハチ公前広場も人通りが減少。商業施設や劇場なども営業時間の短縮や臨時休業の方針を固める中、緊急事態宣言の発令を受け、人の流れはさらに減っている。
通常は、待ち合わせする人や観光客などで混雑するハチ公像周辺では、この日も待ち合わせなどで足を止める人はおらず、ハチ公像は「ポツン」とたたずんでいた。ネット上では、見慣れない光景についての投稿も見られるほか、生前、駅前で上野博士を待っていたハチの姿と重ね、「ハチ公もきっと渋谷にみんなが帰ってくるのを待ってます」(以上、原文ママ)などと、新型コロナの収束を願う投稿も寄せられている。