新型コロナウイルスの感染拡大を受け外食などに対する懸念も広がる中、「ミシュランガイド東京2020」で1つ星を獲得した代々木上原のレストラン「sio(シオ)」(渋谷区上原1)オーナーシェフの鳥羽周作さん(41)が、「家で店の味を楽しんでほしい」と看板メニューのレシピを公開している。
同店は2018(平成30)年7月、オーナーシェフの鳥羽さんがオープン。鳥羽さんはサッカー選手、小学校教員を経て、32歳で料理の世界に飛び込み、外苑前のモダンフレンチ「フロリレージュ」(神宮前2)などで腕を磨いた「異色の経歴」を持つ。
レシピは3月29日に第1弾として、鳥羽さんが昨年丸の内にオープンした食堂「o/sio(おしお)」の人気メニュー、唐揚げの作り方を、唐揚げに添える「奈良漬けのタルタルソース」のレシピと共に公開。鳥羽さんのツイッターアカウントで「#おうちでsio」のハッシュタグを付け、材料や作り方などを紹介。同店のnote公式ページでも同様の内容を公開した。
揚げ方について「180度で3分、休ませ3分、仕上げ1分」などと詳細に、「おいしくなるコツ」などを伝授した鳥羽さんの投稿には350以上のリツイート、2300以上のいいねが付くなどして反響を呼び、レシピを見て実際に作った人からは「自作至上サイコーの唐揚げ」「おいしい唐揚げ作れてこどもも大喜び」(以上、原文ママ)などの投稿が寄せられている。鳥羽さんは「不安な思いをしている人が料理を通して楽しくなったという声も聞く。(リツイートなどの)数字では図れない言葉の重さや内容の濃さを感じている」と手応えを感じているという。
その後、「ポイントは生クリームとバター」という「追いケチャ」で仕上げるナポリタン(翌30日)、粉末ソースを水で伸ばすなど市販の麺でも「ちょっとしたコツで極上の仕上がりになる」という焼きそば(4月1日)など、次々と看板メニューや簡単に作れるレシピを公開。2日には、自身が監修した「東急プラザ渋谷」(道玄坂1)の洋食店「パーラー大箸」のメニュー「牛タンシチューのデミグラス」のレシピを紹介し、白みそや蜂蜜などの隠し味も材料に挙げた。
ミシュランで星を獲得した「sio」のレシピは、ソースの作り方など難易度が高くレシピ化は難しいものの、「肉の焼き方や、塩辛くし過ぎた料理のリカバリーの仕方などを紹介していきたい」と、今後も工夫しながら自身の技術や味を「お裾分けしていきたい」と言う鳥羽さん。今回の試みなどを通じて「料理人として『対面』で届けるという概念が変わった。『フィロソフィー』を家庭に届けることができる」と前を向く。
同店では、バインミーや弁当などのテークアウト(要予約)も始めたほか、編集者・箕輪厚介さん所有のトゥクトゥク「ミノトゥク」で弁当をデリバリーするサービス「ミノトゥク イーツ」にも参加し、牛タンとステーキを合わせて詰めた弁当「sio特製 こだわりの究極のビーフシチュー」(4,500円)も1日15食限定で用意する。
営業時間は17時~21時(土曜・日曜・祝日はランチ=12時~12時30分も営業、以上ラストオーダー)。水曜定休。