Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が2月16日、横浜ビー・コルセアーズ(同、横浜)と戦い90-79で勝利を収めた。会場は横浜国際プール。観客数は3514人。
今季のSR渋谷は、一試合通して前線から当たるディフェンス(DF)や徹底したタイムシェアなどの戦い方で「台風の目」となりつつあるが、Bリーグ4季目も終盤に差し掛かかる中、この日はまた異なる戦いを見せた。
大きなポイントとなったのは1対1で相手を守るマンツーマンDFではなく、エリアを守るゾーンDF。これまでの試合でも、対戦相手の攻撃のリズムを崩すために数分使うことはあったが、この日は最終的に30分以上、試合のほとんどの時間がゾーンDFとなった。きっかけとなったのは、第1クオーター(Q)中盤でのチャールズ・ジャクソン選手のファウルで、ファウル・トラブルを懸念しゾーンを敷いた。
以降、ジャクソン選手が出場している時は「ゾーンで我慢」(伊佐勉ヘッドコーチ(HC))を続けると同時に、ジャクソン選手の代わりにファイ・サンバ選手が出場している時間帯も横浜に崩されていなかったことから「経験上そのままいった方がいい空気がしていた」(同)と判断。加えて、この日ライアン・ケリー選手が長時間出場する可能性も視野に入れ、「アグレッシブさは無くなるが」(同)ゾーンを継続した。
その結果、第1QはSR渋谷のゾーンDFに対し横浜が多投した3Pが外れ、9点のリードを奪った。以降もリードする展開が続いたが、最終Q序盤に横浜のジェームズ・サザランド選手に2本の3Pなど連続で得点を許し6点差に追いつかれると伊佐HCは広瀬健太選手を投入し、サザランド選手にマッチアップさせ、その他4選手がゾーンを継続する「ボックスワン」を起用。サザランド選手の得点を止めることに成功し、再びリードを広げることに成功した。
本来「あまりゾーンが好きじゃ無い」伊佐HCは「練習もほとんどしていない」こともあり、「居心地は悪かったが、今日に関してはそういうゲームだったのかな、と言い聞かせている」と複雑な心境を吐露。関野選手は「空いているスペースが多い時間帯もあったが、試合の中で改善できてきた。レベルアップするためにコミュニケーション必要」とまずまずの感触を得たようだった。横浜の福田将吾HCは「まさかほぼ40分(ゾーンDFを)してくるとは」と驚いた様子を見せ、「非常にまれなケース」と振り返った。
試合は、立ち上がりでベンドラメ礼生選手が先制の3Pを決めたほか、ドライブ(ドリブルでリングに向かうプレー)から第1Qで10点を記録。加えて、「過去数試合で3Pを打つ本数が増えてきていると感じていた」と言うケリー選手が積極的1対1を仕掛けリングにアタックしていきながら、「ジャブのようにじわじわとアドバンテージが来る」と狙ってファウルも誘発した。ケリー選手は同Qだけで4本のブロックショット(BS)をマークしたが、「昨日を振り返って手や足が動いていなかった」ことから意識したと言う。25-16で迎えた第2Qには、前日の試合で「全くダメだった」(伊佐HC)ことから速攻からの得点を許したタイミングでタイムアウトを取ることで横浜の流れを切り、オフェンスでは石井講祐選手が2本の3Pを決めるなど最大17点のリードを奪った。
後半の立ち上がりはオフェンスファウルやターンオーバーなどミスから入るが、広瀬選手やベンドラメ選手のドライブ、ケリー選手の3Pなど攻撃の流れが崩れること無くリードを保っていた。しかし、横浜は第3Q中盤からサザランド選手の3Pや「真ん中が空いているのは見ていて分かっていた」と田渡凌選手がペイントアタックし得点を挙げ、結果的に両チーム20点以上を挙げる点の取り合いとなった。
最終Qは追い上げられる場面も見られる中、横からディフェンスのシュートチェックは来ていたが「フリーだと思ったら打つと決めているので、迷い無く打てた」と関野剛平選手がリードを9点差に広げる3Pを沈め横浜にタイムアウトを取らせた。前日の試合の反省から伊佐HCの「ボールをプッシュし続けろ」という言葉に応えるように、ベンドラメ選手が速攻を仕掛け続け、それに合わせてジャクソン選手やケリー選手も走りダンクで試合を締めくくった。
最終Qにはインサイドで激し争いを見せていたジャクソン選手が熱くなる場面も見られたが、田渡修人選手らが声を掛けるなどしていた。ジャクソン選手は「肘が顔に入りフラストレーションがたまる時間帯はあったが、自分がホットになっている時はチームメートが常に話し掛けてくれていて自分を支えてくれている」と感謝の言葉を口にした。39分近く出場したケリー選手は「昨日の敗戦後に、明日は何があっても、どんなかたちでも勝たないといけないと言った」ことに触れつつ、「疲労に襲われる瞬間はあったが、チームメートも同じように戦いながら頑張っている」と自らを鼓舞して走り続けた。
SR渋谷の次節はバイウイーク明けの今月28日・29日、ホーム青山学院記念館(渋谷区渋谷4)に富山グラウジーズを迎える。