東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内、TEL 03-3280-0099)を中心に2月7日、「第12回恵比寿映像祭『時間を想像する』」が始まった。
2009(平成21)年に始まったアートと映像のフェスティバルとなる同祭。「映像とは何か」を考えるため毎年異なる総合テーマを掲げ展開する中、12回目を迎える今年は「時間とは何か」に迫る。今年は東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げる文化の祭典「Tokyo Tokyo FESTIVAL」の一つとして開催する。
今回は17の国と地域から78組のアーティスト・ゲストが参加(作品数は73点)。メディア・プロダクツ・ユニット「minim++(ミニムプラプラ)」は、机の上に置いた虫眼鏡や皿、はさみなどを触れると陰が動き出すインタラクティブ・アート「Tools’ Life~道具の隠れた正体」を展示。ベルリン在住のユニット「ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニ」の「移動の自由」は、ローマ・オリンピックでサハラ以南のアフリカ人として初めて金メダルを獲得したマラソンのアベベ・ビキラの軌跡を追うビデオインスタレーションとなる。岩井俊雄さんの「マシュマロスコープ」はオブジェ内に内蔵されたカメラで捉えた映像が一定時間遅れてモニターに現れる作品。
イギリスの実験映像作家ベン・リヴァースさんは、16ミリフィルムで撮影した40分間のナマケモノの映像「いま、ついい!」を出品。東日本大震災を機に東北を拠点に活動する「小森はるか+瀬尾夏美」は、2031年の岩手・陸前高田市を舞台に瀬尾さんが描いた物語を起点とするインスタレーションなどを展示する。
館内のホールでは、オリンピック・パラリンピックを控えた東京で何者かからテレパシーを受け立った少女を主人公に描く映像作家・遠藤麻衣子さんの「TOKYO TELEPATH 2020」、アイリー・ナッシュ(ニューヨーク映画祭)・セレクション、短編映画の映画祭「21st DigiCon6 ASIA」の特別プログラムでアニメーション10作品などを上映。音楽家・渡邊琢磨さんが初監督・脚本・編集・音楽を担当する「ECTO」は弦楽生演奏付きで上映する。
ザ・ガーデンルームではメディアアートのフェスティバル「デジタル・ショック」との共催企画として日仏両国のアーティストによるAI(人工知能)を用いたライブパフォーマンスとトークセッションを行う。
オフサイト展示として恵比寿ガーデンプレイス・センター広場には、プラネタリウム用に制作された教育映像作品「ハナビリウム」を上映するドームが登場。400年以上続く花火の歴史や技術を実写映像とCGアニメーションで紹介。花火師以外は入ることができない花火の真下から撮った5000発の花火は360度全方位で上映する。
近隣の日仏会館では、アーティストグループ「ダムタイプ」のメンバーでもある高谷史郎さが、東京都写真美術館収蔵の映像作品の東京版を委嘱作品として制作した「Toposcan/Tokyo」を、連結した8台のモニターで上映する。日仏会館では1964(昭和39)年の東京パラリンピックの記録映像上映と講演も行う。
開催時間は10時~20時(最終日は18時まで)。入場無料(上映など一部プログラムは有料)。月曜休館。今月23日まで。