渋谷区と一般財団法人渋谷区観光協会は1月27日、グーグル社の技術を活用した「観光のデジタル化」推進を発表した。
「Google Nest Hub」のディスプレーでは話した言葉を文字で表示する
東京オリンピック・パラリンピックだけでなく、明治神宮の鎮座100年に向け、外国人観光客を始め観光客のさらなる増加が見込まれる中、情報発信力の強化や言語対応など「受け入れ環境の向上」を図る。観光協会ではこれまで、東京都観光財団の補助を受けながらパブリックWi-Fiの整備などを行ってきたが、「世界で標準的に使われているサービス」としてグーグル社の技術を活用する。
新たな取り組みとして、グーグル・アシスタント搭載のスマートディスプレー「Google Nest Hub(グーグル・ネスト・ハブ)」を導入。リアルタイム通訳ができ、個人情報の観点からログが残らないビジネス向けの通訳モードを活用する。ディスプレーには話した言葉が文字で表示されるため、正しく伝わっているか視覚でも確認できる。対応言語は現在29カ国。
同日、渋谷マークシティ(渋谷区道玄坂1)内の観光案内所、渋谷駅前ハチ公広場に設置されているモニュメント「東急5000系車両(愛称=青ガエル)」内の観光案内所、渋谷フクラス(道玄坂1)1階の観光支援施設「shibuya-san tourist imformation&art center」に1台ずつ設置し試用運用を開始。
今後は、東急東横線・田園都市線渋谷駅地下1階の観光案内所「WANDER COMPASS SHIBUYA」、渋谷駅東口地下広場の情報発信や観光案内機能を持つ「UPLIGHT CAFE」、H.I.S.が手掛ける原宿駅・竹下口近くの観光案内所にも導入予定で、東京五輪前の7月ごろまでには、「人が集まる場所」20~30カ所に設置する予定。
グーグルマップと二次元バーコードを活用した観光・ルート案内では、「ローカルガイド」の情報を活用。区内の「観光名所」「すし店」「夜間観光」「両替ができる場所」など観光案内所などで「よく聞かれる」質問に対する情報を目的別にソートし、二次元バーコードで案内する。ローカルガイドの情報だけでなく、観光協会のスタッフによる情報も加えて提案する。同サービスも「グーグル・ネスト・ハブ」と一緒に観光案内所に導入している。
区ではこのほか、グーグルマップと二次元バーコードを活用した喫煙所マップを作ることでマナー啓発を図っているほか、区内の中小・小規模事業者などを対象としたキャッシュレス端末の普及・配布事業支援なども行っている。
長谷部健渋谷区長は「民間のリソースと区のリソースを掛け合わせながら課題を解決していくことは、基本構想の中で取り組もうとしていることと重なる。街の課題を官民で課題を解決しながら未来をつくる取り組みに期待している」とあいさつ。観光協会の金山淳吾理事長は「人の温もりのある情報提供や地域の交流を大切にするのは大事だが、コミュニケーションを円滑にするテクノロジーは積極的に導入し、東京五輪・パラを機に、日本、東京、渋谷の観光が快適だった、また来たい、行ってみるべきと言ってもらえるよう、世界中にファンができるきっかけにしたい」とも。
グーグル合同会社(渋谷3)バイスプレジデント アジア太平洋・日本地区マーケティングの岩村水樹さんは、渋谷はグーグルが初めて海外オフィスを開設した場であることから、「とても特別な場所」と位置付け、「多様な方々が集まり、ユニークなカルチャーを持っている。この渋谷を世界中の方々にもっと楽しんでいただける手伝いができれば」と話した。