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パルコ劇場、渋谷に再オープンへ オープニングシリーズ出演者らそろい踏み

オープニングシリーズに出演するキャストたち

オープニングシリーズに出演するキャストたち

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 渋谷パルコ(渋谷区宇田川町)に1月24日、「PARCO(パルコ)劇場」が再オープンする。

エントランス

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 1973(昭和48)年の旧・渋谷パルコの開業とともに「西武劇場」としてオープンし、2016(平成28)年8月に旧・渋谷パルコの建て替えに伴い一時休館していた同劇場。渋谷パルコの「文化発信の核」として、旧劇場では約1200作品を上演した。

 新劇場も、昨年11月に開業した新生・渋谷パルコの「パルコ文化のコア」と位置付ける。渋谷パルコの7~9階(エントランスは8階)に位置し、旧劇場の約1.5倍となる636席に規模を拡張しながらも、最大視認距離(舞台先端から客席最後部までの長さ)が18メートルと舞台と客席の距離感が旧劇場より近くなるなど、全席をS席と位置付ける空間に仕上げた。

 かねて劇場監督を置いていないのが特徴で、新しいパルコ劇場では、年間公演をパルコが100%自主プロデュースする。同日始まるこけら落とし公演は、1996(平成8)年から休館まで旧劇場で上演していた立川志の輔さんによる「志の輔らくご」(2月20日まで)と、1990(平成2)年~2018(平成30)年に480回上演した男女のカップルによる朗読劇「ラヴ・レターズ」(2月)。

 3月~2021年5月上旬にかけてオープニングとして14作品の公演を行う。1月15日には同劇場でオープニングシリーズの記者会見が行われた。1作目(3月13日~4月20日)は、旧劇場で1985(昭和60)年に上演された舞台「ピサロ」。当時、インカ王アタワルパ役を演じた渡辺謙さんが主演(ピサロ役)で凱旋(がいせん)する。西武劇場の舞台にも出演した経験もある渡辺さんは「この劇場は僕の演劇人生のエポックになる」と期待を込め、「演劇作品の一発目ということで、ある種のプレッシャーはあるが、何をやってやろうかと言う気構えも同時にある。35年前の作品に負けないような、レジェンドと言ったら大げさだが、『(新)パルコ劇場はこういう風に始まったんだ』と言われるように幕を開けたい」と意気込む。

 佐々木蔵之介さんが出演する大河ドラマ「佐渡島他吉生涯」(2020年5月)の後、6月~8月には三谷幸喜さんが作・演出作品を手掛ける「大地」(6月~8月)、同作終演後に上演するミュージックステージ「三谷幸喜のショーガール」(7月)、文楽「其礼成心中(それなりしんじゅう)」(竹本千歳太夫さんら出演、8月)が続く。開口一番、劇場の設備として、「本番中に携帯電話が鳴ると8万ボルトの電流が流れるニクロム線が全座席に張られている」「本番中に寝たマスコミ関係者を狙い撃ちするレーザー銃が設置されている」など冗談を連発した三谷さん。東京オリンピックの開催時期と被ることから「スポーツに興味のない方はぜひ」と呼び掛けつつ、「そんな時に僕の作品を上演しようと思ってくれたパルコの恩義に応えたい」と意欲を見せる。

 続く「ゲルニカ」(9月)は、演出家・栗山民也さんが作家・長田育恵さんと初めてタッグを組み手掛ける、ピカソの同名絵画から着想を得て作り上げる新作となる。長田さんは「暴力を起こすのは人間だが、暴力に打ち勝つことができるのもまた人間だけ。そんな思いを込めながら執筆に挑みたい」と意気込む。旧劇場で3回上演してきた、生瀬勝久さん、池田成志さん、古田新太さんの演劇ユニット「ねずみの三銃士」も、脚本・宮藤官九郎さん、演出・河原雅彦さんで新作「獣道一直線!!!」を上演(10月)。池田さんは「私たちがパルコの猥雑で、ふざけた方を少しでも広めていけたら」と話すと、古田さんも「どれだけ下品なこができるかと。下ネタ好きな方はぜひ」と呼び掛ける。

 11月には10年ぶりに同劇場で作品を上演する劇作家で演出家の前川知大さんの新作、12月には宮本●門(●=亜の旧字体)さんが演出を手掛ける映画「チョコレートドーナツ」の世界初となる舞台版、2021年には「志の輔らくご」(1月)、「ラヴ・レターズ」(同)と続く。

 パルコ劇場の前身となる西武劇場のオープニングとして1973(昭和48)年に初演された「薮原検校(けんぎょう)」は、若手演出家・杉原邦生さん、市川猿之助さん出演で上演(2月)。市川さんは「2月は演劇界では一番客が入らない月で、まだそんなに有名ではない演出家で、一番貧乏くじのような芝居をやるが、客席の半分くらいは招待者なしで埋めたい」と自虐するとともに、「本当は三谷さんの作品に出たかった」と笑いを誘った。

 天海祐希さんが出演する「レディ・マクベス」(4月)では、シェイクスピアの作品に登場する「マクベス夫人の人となりや、彼女がなぜ人生をそのように歩んだかにフォーカスする」(天海さん)と言う。宝塚歌劇団を辞めて立った初の舞台が旧・パルコ劇場だったと言い、「新生パルコ劇場に立たせていただけるのはとても幸せで、私にとっても大きなターニングポイントになるのでは」と話した。

 オープニングシリーズのラストを飾るのは、旧パルコ劇場のクロージングシリーズ公演「メルシー!おもてなし~志の輔落語MIX~」に主演した中井貴一さんの主演作品(4~5月)。スケジュールの都合で来場できなかった中井さんは「ここからまた新しいパルコの歴史を作っていくんだという気持ちでいっぱい」とビデオメッセージを寄せた。

 パルコの執行役でエンタメ事業推進担当の井上肇さんは「プロデュース公演を続けていくことが使命」と言い、「新しい器に魂を込めるためには、作品の上映に加えて、たくさんの方に来ていただくのが大事」と来場を呼び掛ける。

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