Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が1月5日、横浜ビー・コルセアーズ(同、横浜)を91-69で下し、連勝を4に伸ばした。会場は青山学院記念館(渋谷区渋谷4)、観客数は3305人。
ティップオフ前、ベンチでは「サンバの分まで戦おうと皆で言った」(田渡修人選手)と、前日の試合でディスクオリファイング(悪質な)ファウルと宣告され、この日出場できないファイ・サンバ選手がいる観客席の方にこぶしを挙げハドルを組んだSR渋谷。
普段、ファイ選手とローテーションでコートに立つ野口大介選手は、「サンバがいない分、僕がセバスチャン(・サイズ選手)やライアン(・ケリー選手)をサポートしないと、と心の準備はできていた」と言う。第1クオーター(Q)途中で出場するとオフェンスリバウンドから得点を挙げる場面も見られ、最終的にはこの日リバウンド5本を押さえたが、「課題であるリバウンドをしっかり意識し、形にできてよかった」と振り返る。加えて、武器である3ポイント(P)シュートだけでなく、ドライブ(ドリブルでリングにアタックするプレー)も仕掛けていたが、「攻める気持ちを出せた。あとは決めるだけ。伸び代がある」と手応えをつかんだ様子を見せた。
前日20点以上の差をつけ横浜に勝利していた中、「相手がいつも以上に激しく来るのは経験上分かっていたし、コーチ陣からもきつく言われていたので、昨日よりもっと高いレベルでプレーしようと全員で心掛けた」(広瀬健太選手)と言うよう、試合の出だしからアグレッシブなディフェンス(DF)で横浜のターンオーバーを誘発し、「DFからいいリズムを作れた」(ベンドラメ礼生選手)。加えて、前日反省点に上げていたペイント(ゴール下近くの)エリアでの得点も、DFローテーションで減らした。伊佐勉ヘッドコーチ(HC)も「何本かやられたが、修正が効く範囲だったので良かった」と好感触な様子を見せた。
第2Qでは石井講祐選手や広瀬選手の3Pで一時23点差を付けるも、11点差まで追い上げられた中、ケリー選手は得意の3Pを次々と決め、サイズ選手はブロックショット(シュートブロック)を2本見せるなどインサイドで存在感を示した。15点リードで迎えた最終Q、「打つチャンスがあったら迷わず打った」とこの日計9本の3Pを打った盛實海翔(もりざね・かいと)選手の3Pや、盛實選手を起点とした得点などで点差を20に広げ横浜にタイムアウトを取らせた。以降もSR渋谷はDFの手を緩めず、オールコートで当たり、スローインの5秒バイオレーションも奪った。この日シュートが決まらず「立て直さないといけない時にDFからやっていこうとは意識していた」というベンドラメ選手もスチール(ボールを奪うプレー)から速攻を仕掛け、パスカットも狙った。
前節から4連勝となったが、その前には4連敗をしていたSR渋谷。前節の前には「普段はしない」という選手だけでミーティングをし、「良い所と悪い所を確認した」と野口選手は言う。そこで、「気の緩みというか慢心があったので、もう一回立て直そう」と前節を連勝したが、「満足することなく、同じテンションでいこうとやっていこうと臨み、こういった内容の試合ができたのでは」と振り返った。
6日に誕生日を迎える田渡選手は、「この2試合は絶対に勝ちたかったし、やりたいことができ、入りの悪さも改善できていて、いいプレゼントだった」とチームの勝利を喜ぶ。ロッカールームで「明日誕生日だ、よっしゃー」と声を出したところ、山内選手が「よっしゃ、明日休みで良かった」と応えたようで「祝う気ないっすね、あいつは」と苦笑した。横浜には田渡選手の弟・田渡凌選手が所属している。修人選手は「めちゃくちゃ楽しみだった」と言うが、けがで出場できない中、「声とかでしか貢献できない」と、試合前の練習やベンチでチームを鼓舞している。凌選手も「お兄ちゃんとやるときは燃えるというか、意識していないと言ったらうそになるので楽しみにしていたが、けがが心配なので早く治ってほしい」と修人選手を気遣った。
Bリーグは一時休戦し、今月9日~11日は天皇杯(オールジャパン)のファイナルラウンドが行われる。SR渋谷の初戦はレバンガ北海道で、古巣との対戦となる野口選手は「特に気持ちが入る。絶対に負けたくないので、そこに照準を合わせていきたい」と意気込む。広瀬選手は、「大きなタイトルの一つ。今季やってきたことをやれば、チャンスは巡ってくると思うので、狙いに行きたい」、ベンドラメ選手は「負けたら終わりなので、集中して、流れをつかみながら勝ち上がり優勝したい」と話した。