Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が12月29日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(同、名古屋)を96-77で下し、連勝で年内の試合を終えた。会場は青山学院記念館(渋谷区渋谷4)、観客数は3258人。
立ち上がりから好調なオフェンスを見せたSR渋谷だったが、連続で前線にロングパスを送られ同点に追いつかれたタイミングで、伊佐勉ヘッドコーチ(HC)はタイムアウトを要求。「ディフェンス(DF)のプレッシャーが弱くなった。成長を止めるな」と伝え選手たちを送り出すと、その思いに応えるよう、渡辺竜之佑選手やセバスチャン・サイズ選手がスチール(ボールを奪うプレー)を見せたほか、スローインの5秒、オフェンス(OF)の24秒バイオレーションを奪うなどDFでチャンスをつくり、一気に10点差を付けた。
第2Qには「ムーさん(伊佐HC)がデザインした通りにやった」という、盛實海翔選手からのパスをライアン・ケリー選手がリングに背を向けたアリープダンクでたたき込み場内を沸かせた。盛實選手は「ちょっとパスが悪いと思ったが、ライアンがすごい感じで決めてくれて良かった」と笑った。ケリー選手は3ポイントシュート(P)も3本決めるなど同Qだけで15点を量産。DFでは名古屋を10点に抑え、50-27で前半を折り返した。
後半には、けがから復帰しつつある石井講祐選手がスタートから出場。自らが打つようデザインされたプレーで「気持ちよく打てた」という得意の3Pを決めファンを喜ばせた。2カ月近くコートを離れていたが「これだけ長く試合に出なかったことはほとんど無く、ずっと出たい気持ちはあったが、気持ちを抑えながら見ていた」と言い、ホームでプレーする姿を見せられ「良かった」と笑顔を見せた。まだプレータイムは制限されているが、「今できる100%は出せている」と手応えをうかがわせた。同Qでは、名古屋のイシュマエル・レーン選手相手に「負ける気がしなかった」と、サイズ選手が1対1を積極的に仕掛ファウルを奪い、フリースローで堅実に加点する姿も見られた。
伊佐HCは、第3Qと第4Qには30点差を付けたタイミングで若手選手や日本人だけのメンバー構成で戦った。前半リバウンドで体を張ったファイ・サンバ選手は、3本のシュートを100%の確率で決めた。ファイ選手が得点を決めるとベンチメンバーが一際盛り上がりを見せるが、ファイ選手も「次も決めたくなる」とその姿は届いているようだった。一方で、ドライブ(ドリブルでリングにアタックするプレー)からのレイアップを連続で決められる場面も見られた。伊佐HCは「誰が出ても同じバスケを戦術通り出来るようにやっていかないと」と反省点も挙げた。
「ゲームに入る前までのモチベーションの持ち方、そこからゲームは始まっていると共有した」(伊佐HC)と言う今節は、試合前のウオーミングアップ時に選手全員でハドルを組む姿が見られた。ベンドラメ選手は「アップからゲームに集中して勝とうと伝えた」と言い、「そのおかげでは無いかも知れないが、気持ちの入れ方一つでプレーが変わるのかな」と振り返った。続けて、「連敗していて雰囲気も良くなかった中で、しっかり自分たちのDF、入りからいいバスケを展開して連勝できたのは、普通の連勝とは意味が違う。いい連勝だった」と喜んだ。
SR渋谷は年内の試合を消化し、チームは練習も休みになるという。伊佐HCは「連敗している時はあまり寝られなかったが僕も休みたい」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
選手たちの年越しはそれぞれで、山内盛久選手は家族の待つ沖縄に帰省するが、同じ沖縄出身の渡辺選手は家族が上京し祖父母の自宅で集まるという。ベンドラメ選手は福岡出身だが「人混みが苦手なので家でゆっくりするかな」と話す。千葉出身の石井選手は「両親の所には行くが、いつも通り家族で過ごす」と言い、ファイ選手は「毎年友達を呼んでパーティーをしている」とも。Bリーグに初参戦しているサイズ選手は「いい刺激になっているし、日本での生活も居心地がいい」と2019年を振り返り、初めて日本で年を越すことになるが、年末は「草津温泉に行く」と笑顔を見せた。
SR渋谷は次節1月4日・5日、同所で横浜ビー・コルセアーズと戦う。