Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が12月14日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4))で滋賀レイクスターズ(同、滋賀)と戦い、84-76で勝利した。
チームの根幹である「ディフェンス(DF)から入ろう」(伊佐勉ヘッドコーチ(HC))と試合に臨んだSR渋谷。その言葉を体現するかのように開始約5分で4本のターンオーバーを奪うことに成功。第1クオーター(Q)から2桁得点を付け優位に試合を進めた。
この日は、11月にじん帯損傷から約7カ月ぶりの復帰を果たした広瀬健太選手が「激しくDFをするメンバー」としてスターティングに起用された。「ムーさん(伊佐HC)の期待に応えられるように」と、第2Qにはルーズボールに飛び込む持ち前のアグレッシブさも見せた。「けがが怖い」と本音をこぼしつつ、「体が反応した。いけると思って飛び込んだ」と言う。この日は最終Q残り55秒には2人の選手に囲まれながらもバスケットカウント(得点に加えフリースロー)となるタフショットも決めた。「出場できるメンバーの中で僕だけが点を挙げていなかったので、意地で決めた。『皆に何であんな入り方をしたんだ』と言われたが、強くプレーできた結果」と笑った。今季5戦目で、最長となる20分弱の出場を果たした。「DFを激しくやっているので長く感じた」と言うが、「(調子は)60%くらい。日に日に状態は良くなっている」と話した。
広瀬選手の姿に「パワーをもらった」と言うのは野口大介選手。「復活した健太が体を張ったプレーを見せてくれた。年が近いので、僕も頑張らなくてはと思った」と言う。この日はセバスチャン・サイズ選手にファウルトラブルがあり、30キロ近く体重差がある外国籍選手とマッチアップする場面も見られた。「重かった」と苦笑しつつ、「(ゴールから)遠い場所でボールを持たせることや、力を入れるタイミングをずらして押し込まれないように工夫した」と言う。加えて「今までは積極的に入れていなかったので取り返そうと」リバウンドにも絡み4本をマークした。「まだまだ満足せずにやっていきたい」。
最終Qは18点リードで迎えたが、開始約3分30秒でチームファウルが5つたまり、滋賀にフリースローを与える展開に。徐々に点差を詰められる中、「流れを持ってきやすいプレーの一つ」と、山内盛久選手がルーズボールに飛び込み、自らフローターを決めた。「苦しい時間帯だったのでマイボールにできて良かった」と振り返る。その直後には、ライアン・ケリー選手のアリウープダンクもアシストし、この日は7得点アシスト4本などをマーク。「個人のパフォーマンスは上がってきている」と手応えをうかがわせた。
最大23点のリードを奪いながらも、8点まで詰め寄られたSR渋谷。「点数を突き放すこと」が1つ今季の課題として見えている中、伊佐HCは「点差を離すのか詰められるのかはベンチでもずっと話していたので気の緩みは無かった」と見るが、野口選手は「心の乱れ」を指摘し、「たぶんお客さんも気が付いていると思うし、僕らもも分かっている。波を少なくしていきたい」と話す。山内選手は「点数に関係なく、誰が出てもチームとしてやるべきことを徹底すればおのずと点差が開いてくる。油断しているわけではないが、相手も必死に追いつこうとするので、いかにインテンシティー高くバスケを遂行できるかが大事」と見解を示した。
SR渋谷は交代の頻度の高いチームだが、この日は選手を5人一斉に変える場面が幾度と見られた。「きつくなる前に変えたいと思っているが、ビッグマンの所が難しい。互いのビッグマンの相性を考え、いけると思った。チームもガラッと変わるし、相手もアジャストしにくいのでは。できて良かった」と振り返った。
試合開始前には、足首のねんざで約1カ月離脱している石井講祐選手も練習している姿が見られた。伊佐HCは「100%ではないが準備はできているので、今日もどこかで出せたらと考えていた。チャンスがあれば出したい」と言及した。
約1カ月ぶりのホーム戦となったこの日は、SR渋谷のファンを中心に2718人が来場。「すごく久しぶりな感じがあって楽しかった」と振り返ったベンドラメ選手は、現在リーグトップの数を誇るスチール(相手からボールを奪うプレー)や技ありのボールハンドリングなどで場内をわかせた。山内選手は「声援が自分たちの方に向いていて心強い。ホームの時にいいパフォーマンスを見せて、お客さんの声援をもって喜びに変えていけたら」と意気込んだ。
両チームは15日も同所で戦う。広瀬選手は「連勝は難しいが、エナジーで上回って出だしから相手を面食らわせられるよう準備したい」と意欲を見せる。