六本木通り・渋谷二丁目交差点付近の「首都高速3号渋谷線」郊外(東名高速)方向の入り口「渋谷入口」(下り)が12月10日、報道陣に公開された。
渋谷二丁目交差点から明治通りと交わる渋谷署前交差点までの約300メートルにかけて、首都高速道路(千代田区)が整備を進めてきた同入り口。これまで、霞が関から池尻までの区間(約7キロ)に郊外方向への入り口が無かったことから、渋滞緩和や利便性向上などを図ることが目的。
六本木通りの車線を3車線から2車線に変更し新設した渋谷入口だが、料金所設置に必要な幅員(約7メートル)が足りなかったことから、3号渋谷線から約6メートルの空中に約3メートルの張り出し(全長56メートル)を造ってスペースを確保した。同所で初採用した「特殊な」施工方法は、2メートル×4.8メートルの鋼製の型枠(計28個)を床版上のレールにはめ込み、油圧ジャックで押し出し、その上にコンクリートを打設した。道路の空中で行う必要性があったため、作業は夜間に渋谷3号線の1車線を交通規制して行った。
加えて、六本木通りと3号渋谷線に挟まれた狭いスペースであることから、同社としては2例目となる1レーン1ブース(料金収受ブース)を採用(標準は2レーン2ブース)。料金の収受員が勤務する収受ブースや収受員の生活室、機械室の配置を工夫することで、六本木通りからの収受ブースまでに必要な距離(約30メートル)を確保した。
渋谷入口が開通することで郊外方面へのアクセス性が向上するほか、大橋ジャンクションを経由し中央環状線にアクセスできるようになる。渋谷駅周辺から湾岸線方面や埼玉方面のルートで中央環状線と都心環状線を選択できるようになり、混雑回避で各ルートの所要時間短縮にもつながる見込みで、渋谷から羽田行きの高速バスの所要時間はピーク時に6分短縮されるという(数値はいずれもETC2.0プローブデータ、2018年10月平日18時台のピーク時平均所要時間から算出)。渋谷駅周辺は青山通り(国道246号)と六本木通り・明治通りが交差し交通が集中しているが、同入り口の開通で交通が分散され、一般道の混雑緩和も期待される。
同所付近の3号渋谷線の交通量は往復7万台(平日の1日平均)ほど。渋谷入口はで約4600台(1年~2年ほどは半数程度、平日の1日平均)の利用を見込む。「池尻出入口」は約8000台(平日の1日平均)の利用があるというが、渋谷入口の開通で利用量が分散されると見る。
1964(昭和39)年の東京オリンピック・パラリンピックに合わせて整備され、同年12月に東名高速道路と接続し全線開通した3号渋谷線。1973(昭和48)年、交通渋滞が出始めたことから上り出口を開通するも、入り口はスペースが狭かったことから計画が挙がらなかった。ETCの拡大に伴い1レーン・1ブースでも計画できると判断し、2014(平成26)年に都市計画決定され、2016(平成28)年4月に着工。当初は2018年度の開通を目指していたが延長していた。総工費は69億円。
開通は今月19日2時。1レーンのため、毎月第2日曜夜間(25時~1時間程度)の定期点検時は通行止めとなる。