渋谷モディ(渋谷区神南1)壁面の大型街頭ビジョンで現在、施設としては「ライバル」にも当たる「渋谷スクランブルスクエア」「渋谷パルコ」「渋谷フクラス」の開業を記念するお祝いメッセージが上映されている。
上映では、「開業おめでとうございます!」というメッセージと共に、渋谷モディを運営する丸井とは経営母体の異なる各施設の名称とロゴ、開業日を流す。
渋谷駅周辺には、同系列の「渋谷マルイ」や、東急グループが運営する「SHIBUYA109」「渋谷ヒカリエ」「渋谷マークシティ」「東急百貨店本店」、西武・そごう系の「西武渋谷店」など、10店舗以上の商業施設が立ち並び、今秋に入りさらに、東急・JR・東京メトロが共同運営する渋谷スクランブルスクエア東棟と、J.フロント リテイリングの渋谷パルコ、東急不動産の渋谷フクラスが開業した。
今後、施設間の集客競争がますます激しくなることが予想される中で、渋谷モディは今回なぜ、施設の「顔」ともなる街頭ビジョンで、しのぎを削るライバルたちに「お祝いメッセージ」を送ったのか。渋谷マルイ・渋谷モディの営業担当マネジャー山崎悌尚さん(「崎」はたつざき)は「確かに競合ではあるが、どちらかといえば、新宿や銀座などとの地域間競争に渋谷が勝っていかなければならない。むしろ渋谷を一緒に盛り上げていく仲間で、新しい商業施設のオープンを前向きに捉えている」と歓迎し、「『私たちは(新しい商業施設の開業に対して)ウエルカムです』という気持ちを込めて、ビジョンでお祝いをした」と経緯を明かす。
そもそものつながりは、2014(平成26)年にスタートし、渋谷の複数の場所を会場としたファッションイベント「渋谷ファッションウイーク」がきっかけだという。春夏の年2回、渋谷の大型商業施設が「共同キャンペーン」で手を組み、ストリートファッションショーを仕掛けるなど、街の新たな魅力づくりを進めてきた。「ファッションウイークの打ち合わせや懇親会などで担当者とつながり、商業施設間の関係がすごく変わってきたかなと感じている」と言い、「最近も109さんから提案を受け、渋谷タピオカマップ作成に協力した」と連携が増えたという。
一方で、「お祝いメッセージ」を送られた渋谷スクランブルスクエア管理部の山中莉奈さんは「その気持ちがすごくうれしかった。本来は広告枠であるデジタルサイネージを提供いただいて、本当にありがたい」と声を弾ませる。渋谷モディの「気持ち」に呼応して、「私たちも12月前半から渋谷スクランブルスクエアのサイネージで、モディさんへの感謝と新しく仲間に加わった各商業施設もよろしくお願いします…という、コンテンツを流そうと準備している」という。
さらに、11月より順次開業し、12月5日には商業スペースとして施設内に「東急プラザ渋谷」を復活させる「渋谷フクラス」でも、同月中旬から「(各商業施設と)一緒に渋谷のまちを盛り上げよう」という趣旨のメッセージ上映が決まり、企業間の障壁を乗り越えた「デジタルサイネージの輪」が広がる見込みだ。
今後について、山崎さんは「『世界の渋谷』と言われるような国際都市にしていくため、これからも商業施設間のつながりの中で、渋谷の街を一緒に盛り上げていきたい」と、渋谷ならではの連携で他の地域に負けない団結力をアピールする。
渋谷モディのお祝いメッセージ(約6分間隔で15秒間)は今月28日でいったん終了し、改めて12月1日~15日に上映予定。