国学院大学(渋谷区東1)で10月30日、同大生らが長谷部健渋谷区長に政策アイデアを提言するプレゼンテーションが行われた。
協働で地域社会の課題解決を図る包括連携協定「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定(通称S-SAP)」を結んでいる両者。この取り組みは地域連携事業として、2016(平成28)年から毎年行っている。
東京オリンピック・パラリンピックが来年に迫った今年は、長谷部区長が掲げる「ロンドン、パリ、ニューヨーク、シブヤクの実現」をテーマに掲げ、同大の全学部生・大学院生を対象に6月に募集を開始。10組が集まり、校内選考を通った6組が最終プレゼンテーションに臨んだ。
渋谷区長賞に選ばれたのは法学部の梶山悠莉彩(ゆりあ)さん(2年)。渋谷区在住で、日頃から外国人観光客にトイレの場所を聞かれたり、「和式トイレの使いかたが分からない」と言われたりしていることから、「トイレアプリ」を提案した。
長谷部区長は「『今すぐ発注するとしたら』という観点で決めた」と選考理由を明かし、「どういうアプリなら本当に使ってもらえるか。機能を加えるとか、区の防災アプリと一緒にする方法もある」とアドバイスした。
国際ボランティアや留学を幼少期から経験するなど、「外国人と接する機会が多く、『こうしてほしい』と言われることが自然とあった」と言う梶山さんは、同大入学に合わせ上京し、現在、渋谷に住んでいる。外国人観光客が多く来街していることを肌で感じる中、「渋谷に住んでいるので、何かできれば」と参加を決めた。「プレゼンの経験があまりなかったので難しかった」としながらも、「いろいろな方に見ていただいたし、何回も考えて、何日も徹夜したので、ある程度自信はあった」と振り返る。加えて、広告代理店への就職を希望していることから、「広告代理店出身の区長から賞を頂きたかった。アドバイスを頂けてありがたかった」とも。
学長賞には、渋谷駅周辺や原宿など著名なエリアだけでなく、観光客に渋谷区全体を観光してもらうことを目的とした「渋谷テーマパーク計画」を提案した法学部の兼頭(かねとう)千尋さん(2年)が選ばれた。
大学1年の夏から渋谷駅前でガイドボランティアをしていることから、「気が付いたことを区のトップに言えるのはいい機会」と参加。「思っていたことを伝えられた結果が、この賞。ボランティアをやっていて良かった」と喜びの表情を見せた。
このほか、複雑化している駅の乗り換えやゴミ問題に対する解決策の提案もあった。長谷部区長は「思考していく中で、マーケティングして仮説を立てて、人を説得するために計画と企画を立てていくという一連のフローはできていた」と評価しつつ、「提言をもらえると期待してきたが、残念ながら全員が届いていたわけではなかった。学生ならではのぶっ飛んだアイデアで良かったが、小さくまとまっている印象と、確実に点を取りに来ている感じが伝わってきた。アイデアって、夢みたいなところから引き算していく場合もあるので、大風呂敷を広げた方がいい」とアドバイスした。