Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が10月6日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で千葉ジェッツ(同、千葉)を83-78で下し、開幕2連勝を飾った。
ファウル後に富樫勇樹選手と肩を組んで言葉を交わした石井講祐選手
前日からのBリーグ2019-20シーズンの開幕節で最も拍手を集めたのはSR渋谷の石井講祐選手だった。今季SR渋谷に入団した石井選手は、練習生として入団して以降昨シーズンまでの6年、千葉一筋でプレー。両日とも会場には千葉のファンも多く来場した。
開幕前、古巣との対戦に「絶対勝ちたい相手」と話していた石井選手。「よく眠れた」と言うほか、「早めに会場入りして準備をする」自身のルーティーンで試合を迎えるなど、気負い無く試合に入れた様子だった。「どんな感覚になるのか楽しみだった」と言い、「最初は変な感じしたが、試合に入れば集中してできた」と振り返った。
前日の試合は、「得点を狙いすぎていた」とフリースローでの2得点に終わった石井選手。この日は、「周りを見て落ち着いてやろうと(試合に)入った」と言う。試合序盤で得意の3ポイント(P)シュートを決めたが、「もっとした方がよかったという感触があった」という前日の反省を生かし、積極的にドライブ(ドリブルでゴールに迫るプレー)を仕掛けていった。その結果、バスケットカウント(得点に加えフリースロー)を得たり、ドライブからのキックアウト(外角へのパス)で仲間の得点をアシストしたりして3P2本を含め13点をマーク。「シュートのセレクションがいい結果につながった」と納得の表情を見せた。
伊佐勉ヘッドコーチ(HC)は「思い入れがあったと思うので勝たせてあげたかった」と、初戦のティップオフ直前に石井選手に声を掛けていたほか、この日は「自分も経験があるので分かるが、古巣との対決って特別な感じがあるので、連勝してほしいという気持ちが強かった」という渡辺竜之佑選手が、石井選手の得点に満面の笑みで喜んでいたのも印象的だった。
試合後、「千葉からもたくさんのブースターが来てくれて、開幕戦にふさわしい雰囲気の中で試合でき、楽しんでプレーすることができた」と笑顔を見せた石井選手だったが、この日はファウルがかさみ、残り3分54秒でファウルアウトする結果に。「もうちょっと抑えたかったのが本音」と苦笑した。
その一つ、最終クオーター(Q)残り7分53秒で千葉・富樫勇樹選手にマークされた場面では、ボールを受けに行こうとしたところで富樫選手を押したとオフェンスファウルをコールされた。石井選手は納得のいかない表情を浮かべていたが、富樫選手が歩み寄り肩を組んで言葉を交わすと両チームのファンからは笑いが起こった。試合後富樫選手は「石井ちゃんはボールをもらうときに肘を伸ばす癖があるので、まさにその瞬間に倒れた」とニヤリ。石井選手は「軽く押しただけで倒れないでしょ」と富樫選手に抗議していたことを明かした。
序盤から拮抗(きっこう)した展開となったこの日。ライアン・ケリー選手に代わりベンチ入りを果たしたチャールズ・ジャクソン選手が第1Qからダンクを決めたりブロックショット(シュートブロック)を見せたりと、エンジン全開のプレーを見せる。第2Qにはファウルトラブルに陥ってしまうが、同Qを15-15と互角の戦いをして38-36で前半を折り返す。
第3Qには関野剛平選手が3Pを決めたり自らボールを要求してレイアップを決めたりアグレッシブにプレーしたほか、田渡修人選手が持ち前のシュート力を見せるとともに千葉を15点に抑え、10点リードで最終Qに突入。開始約3分でチームファウルが5つとなったほか、インサイド陣のファウルがかさむ中、伊佐HCはメンバーチェンジをしながら対応していく。残り約1分半で2点差となるが、「ボールを任されるのは自分だと思っていたので積極的に打った」と言うベンドラメ礼生選手が3Pを決め5点差にすると、リバウンドで粘りを見せ83-78で競り勝った。
伊佐HCは「Bリーグ、特にこのカンファレンスで連勝すらりことはとてもタフなこと。選手たちは大きな仕事をしてくれた」と選手を称え、「自信につなげて残り58試合やっていきたい」と力を込めた。「全員バスケで勝てた」と話したベンドラメ選手は、「ディフェンスから流れを作るというのをしっかり頭に入れて、チーム全体で同じ方向を向けて、いい流れがきたのでは」と分析した。
この日は3774人が来場した。渡辺選手は「もっといるんじゃないかっていうくらい迫力を感じたし、声援も聞こえてきて心強いブースター(=ファン)だと感じた」と振り返り、野口大介選手は「声が吸収されずに跳ね返ってきて、一体感がすごかった。今日は空席が目立ったので(笑)、次のホーム戦は満員だったらうれしいし、来て良かったと思える試合をしたい」と話した。
SR渋谷は次節今月12日・13日、アウェーでアルバルク東京と戦う。