渋谷区を拠点に活動する3人制プロバスケットボールチーム「TOKYO DIME(東京ダイム)」が9月8日、国内トップリーグ「3x3(スリー・エックス・スリー).EXE PREMIER(以下プレミア)」プレーオフに出場した。
「渋谷から世界へ」をスローガンに、国内の3x3をけん引してきた東京ダイム。2季ぶりの王者奪還を目指した今季は、生粋の3x3プレーヤー鈴木慶太選手や国内ランキング2位の小松昌弘選手らに加え、国内ランキング1位の落合知也選手、3x3世界1位の強豪国セルビア出身のペター・ペルノビッチ選手を迎えるなどチームの強化を図った今季の東京ダイム。5月~8月に行われたレギュラーシーズンでは、南関東カンファレンスで3連覇を果たしプレーオフに駒を進めた。
プレーオフには日本・韓国・タイ・ニュージーランドで開催したプレミアのレギュラーシーズン上位16チームが出場。負けたら終わりのトーナメント戦で優勝を争った。有料席のチケットが完売となったこの日、会場となった六本木ヒルズアリーナ(港区)の特設会場には各チームのファンが集まったほか、チケットを購入出来なかったファンもアリーナ周辺で戦況を見守った。
東京ダイムの初戦の相手はタイの「MONO VAMPIRE」。開始直後に12バイオレーション(攻撃側は12秒以内にシュートを打たなくてはいけない)を取るなど堅いディフェンスを見せたほか、落合選手とペルノビッチ選手のコンビネーションなどで得点を重ね、21対4でノックアウト勝利。準決勝は石川を拠点にする「ZETHREE(ゼッスリー)」。立ち上がりで2ポイント(P)シュートを決められたほか、チームファウルが重なるなど序盤は劣勢となったとなったものの、残り約3分、小松選手のレイアップで同点に追いつくと鈴木選手・落合選手の2Pなど6連続シュートで畳み掛け、最後は鈴木選手の1対1でノックアウト勝利を収めた。
決勝の相手は北日本カンファレンスを1位で突破した「宇都宮ブレックス(以下宇都宮)」。立ち上がりは、「スコアラーとしてプライドを持って点を取りに行った」という落合選手が1対1からバスケットカウントとなる先制点を奪うなど積極的にゴールにアタックすると、小松選手も負けじと1対1を仕掛ける。ペルノビッチ選手は2Pやゴール下、ドライブなど多彩な攻撃で得点を重ねていった。両者一歩も譲らない拮抗(きっこう)した戦いに、場内のファンも熱い声援を送る。勝敗を分けたのは終盤。連続得点で3点差を付けられた東京ダイムは、鈴木選手が2Pで1点差まで詰め寄るも2Pを決め返され、最後はファウルで与えたフリースローを決められ16-21で敗戦。準優勝という結果に終わった。
試合後、「決勝の舞台に立てたのは良かったが、シーズンの集大成だったので悔しいに尽きる」(鈴木選手)、「どうしても優勝が欲しかった」(落合選手)と悔しさをにじませた選手たち。小松選手は「(ディフェンスの)プレッシャーが強く受け身になってしまった」と反省点を挙げる。宇都宮は東京ダイムと同じく海外のリーグにも参戦していることもあり、落合選手は「互いに意識し合っていたと思う」と話しつつ、「あれだけのプレッシャーは国内では宇都宮だけ。リスペクトしているし宇都宮を倒さないと1位になれないと感じた」と称賛した。
日本代表活動やクラブの世界1位を決めるプロサーキットへの参戦でコアメンバーがプレミアの試合に出場できないラウンドもあったが、落合選手は「カンファレンス優勝をして決勝に来られたのはいい収穫」と今季の戦いを振り返る。小松選手は「最後の残り1秒まで応援して下さって感謝している」と場内に集まったファンに感謝を示し、鈴木選手は「来年こそはチャンピオンの姿を見てもらえるように1年準備して戻ってきたい」と意欲を見せた。
プレミアは終了したが、東京ダイムとしてはプロサーキットの試合も残っている。小松選手は「下をむいている暇はないので頑張りたい」と意欲を見せる。落合選手は「もう少しだけ声援をいただき、僕たちの後押しをしてもらえたら」と呼び掛ける。
東京ダイムのオーナーで現役Bリーガーの岡田優介さんは「準優勝も決して恥ずかしい成績では無く誇らしく思う。逆に言えば目標があるのはチームとしては高いモチベーションが得られるのでは」と選手たちの戦いをたたえ、「決して身体能力の高いチームでは無く華やかなプレーは無いが、ここまでできることは証明できた。意地と意地のぶつかり合い、決勝に相応しい良いゲームだった。見ていた方もそう思ったのでは」と話した。プレーオフには兄弟チームの「大阪ダイム」「八戸ダイム」のほか、女子カテゴリーでは女子の「東京ダイム」も駒を進めた。「ダイムと名のつくチームは常に高いところにいてほしいと考えている。最低限の目標に掲げていたのでそれは良かった」とも。
共同オーナーであるお笑いコンビ「麒麟(きりん)」田村裕さんは「選手たちは一生懸命やっていたし、一番悔しいのは選手なので、お疲れさまと言いたい」と選手たちを激励しつつ、「客席からの声も出ていて(客も)3x3の見方に慣れてきたのかな。いい試合がたくさんあり、敵も味方も入り混じって一つのスタジアムとしていい雰囲気だった。東京オリンピック後ももっと伸びていくために盛り上げていきたい」と話した。