SHIBUYA109(以下109、渋谷区道玄坂2)などを運営するSHIBUYA109エンタテイメント(同)が9月5日、ショップスタッフの接客ロールプレーイング大会を開いた。
笑顔が印象的だった「LIZ LISA」辻口悠乃さんは準優勝に輝いた
有志のショップスタッフ、バックスタッフ、運営事務所スタッフが2015(平成27)年に発足した「109CS向上委員会」発案の下、ショップスタッフの接客力と働くモチベーションの向上を図り同年から開いている。対象としているのは、109とMAGNET by SHIBUYA109(以下MAGNET)、SHIBUYA109ABENO(阿倍野)、SHIBUYA109KAGOSHIMA(鹿児島)の4施設で働くショップスタッフ。今年は85人が参加し、27人が決勝に進んだ。
会場にはラックや鏡などを置き、背景のビジョンに店舗の写真を写すなど、実際の店舗をイメージしたステージを用意。競技者はブランドの商品を使い、役者が演じる実際の来店客層と近い人物を相手に6分間の接客を行った。
審査項目は、入店しやすい雰囲気・たたずまいかを見る「第ゼロ印象」、提案力、オリジナリティー、その人から購入したいかなど6項目(各5点満点)で審査し、各審査員が採点した点数の最低点と最高点を除いた点数、来店客役の役者からの加点(最大3点)の合算で順位を決めた。審査委員は、同施設の新人販売員講習で講師を務めている演技学校を運営するドリームシーズの梶原涼晴(りょうせい)さんを審査委員長に、10代の女子をターゲットにしたフェス「超十代」チーフプロデューサー平藤真治さんなど9組。
競技者は、「デート」「女子会」「キャンプ」などさまざまなシチュエーションに合わせアイテムを提案。普段着のテイストなどを聞きながら、好みなどに合わせた色使い、着回しなどのアドバイス、小物を取り入れたコーディネートなどを提案。雑談も交えながらコミュニケーションを取る参加者も多く見られた。
優勝したのは109の「EMODA(エモダ)」で働くパニラガオ パオリンさん。フィリピン人の親を持つ日本生まれ・育ちの20歳。109での販売員歴は7カ月。接客コンテストのポスターで大会を知り、店長からの打診もあり「糧になる」と出場を決めたという。「3位か2位に入れたら、と思っていたが呼ばれなくて『終わった』と思っていたが、(1位で)めっちゃびっくりした」と優勝を喜んだ。
評価ポイントについて109とMAGNETの総支配人・澤邊亮さんは、「接客のレベルは皆上がってきているので、109らしさをどう出すかが点を左右している。個人や店のキャラクターを6分の中で緊張しながらもどれだけ表現できているかに差が出たのでは」と振り返る。パニラガオさんの接客は「接客レベルだけで無く、コミュニケーション能力も高い」と評価。中でも、会話の中で館内の「好きな店」も薦めていた点をポイントに挙げ、「館内の案内をすることで、(客が109に)また来たくなるような接客をしてくれている。僕らとしてもうれしいし、結果的に自分の店にも再び来店してくれるきっかけになるはず」と話した。
パニラガオさんは普段から来店客に同様の接客をしていて「(今日も)話したいと思っていた」と言う。加えて、商品を薦める際に自身が羽織って見せていたが「(自分が)着てかわいいと思ったから買いたい、と思ってもらえたらいいな」と取り入れた。「自分が話したい、やりたいと思っていたことができて、それを評価してもらえて賞を頂けた。自信を持って接客したい」と意欲を見せた。
澤邊さんは「お客さんが来館するのは、物を買いに来るのも一つの理由だが、ワクワクドキドキしながら来てもらえる施設にしていきたいと考えている。単純に商品を売るだけでなく、ファンを作る、もう一回行きたい・会いたいと思ってもらえるために接客が重要」と話す。来年以降も大会を開く予定。