「前世は『カツオ』」と公言し、カウンターで自らかつお節を削り、客をもてなしてきた女性店主「かつおちゃん」こと永松真依さんが手掛ける「かつお食堂」(渋谷区鴬谷町)が8月8日、渋谷・鶯谷町にオープンした。
宮益坂上近くのバーの午前中の時間帯を間借りし、永松さんが2017(平成29)年11月から営業を続けてきた食堂が初の単独店として「セカンドステージ」を迎えた。カフェやパン店などが軒を連ねる商店街「渋谷西郷馬車道通り商店会」の新築ビルの地下1階には、子どもも座りやすいよう、低めに特注したヒノキの「コの字」カウンターを設け、ねじり鉢巻き姿の永松さんがカウンターの「センター」に立つ。広さ約8.5坪の店内に13席を用意。入り口には手を合わせお参りできる「鰹神社」もしつらえた。
永松さんが注文を受けてから削り出していくかつお節は、生産量日本一の町として知られ伝統ある鹿児島県枕崎市や高知県のかつお節など、永松さん自らがカツオの回遊ルートから漁での取れ方、加工まで含め、「個性」を見抜き、こだわって買い付けたもの。削りたてを、ご飯が隠れるほどのボリュームで盛り付け客に出す。メニューは、かつお節をかけたご飯にみそ汁、おひたしが付く「かつおめしごはん」(1,100円)と、それにだし巻き卵が付く「かつお食堂ごはん」(1,400円)。1日限定70人をめどに提供する。
注文を受ける際などに、かつお節について永松さんの口から飛び出す数々のエピソードや削る際の所作など、「かつおの伝道師」の異名も持つ永松さんの世界観を楽しむエンターテインメント性も、同店の特徴の一つ。店のテーマについて、永松さんは「暮らしとかつおと仲間。暮らしの中でおいしいかつお節で喜んでいただきたい」と話す。
初日、2日目は各日60人以上の客でにぎわった同店。「(この2日は)てんてこ舞いだったが、(今後は)なるべくお待たせしないよう工夫していきたい。1~2カ月して店が落ち着いたらワークショップや夜の営業も考えていきたい。新しい店を温かく見守ってもらえれば」と、今後の展開も見据え調整を続けていくという。
営業時間は9時~(無くなり次第終了)。8月の休みは13日・18日・21日・27日・30日・31日(予定)。営業日は今後もSNSで随時知らせていく。