東急東横線・東京メトロ副都心線「渋谷駅」地下4階などで8月1日、写真家・森山大道さんらの作品を展示するアートエキシビションが始まった。主催はソニー(港区)。
同社が東急電鉄、森山さんと共に展開するアート共創プロジェクト「SHIBUYA/森山大道/NEXT GEN」のメインイベント。次世代クリエーターの発掘・支援を図り、表現の場として展示の機会を提供する取り組み。作品は全て「2019SHIBUYA」をテーマにしている。
「今までアート展をやったことがないような場」として駅構内を会場にした。「UNDERGROUND」と題し、森山さんや「次世代クリエーターの代表」として映像作家・山田智和さん、ソニーが19~25歳を対象に国内外から公募した若手クリエーターの作品を構内に展示する。森山さんの作品は渋谷駅前のスクランブル交差点や渋谷センター街などの雑踏・街並みを捉えた新作を65インチのモニター10面でインスタレーションとして展示。山田さんの作品は、再開発が進む渋谷駅東口地下や桜丘地区などを撮った映像や若者たちの映像などを組み合わせ、「渋谷の変化の軌跡」を表現。「街の一角を再現」するため一緒に信号機などを置いている。
森山さんは、金王坂(青山通り)に職場があったことや桜丘のアパートに住んでいたこと、宮益坂に個人ギャラリーを持っていたこともあり、「(渋谷は)かなり縁があり、随分(写真を)撮っている」街だという。「何でこんな所にこんな写真があるんだ?と突然現れる面白さを感じてもらえたら」と鑑賞を呼び掛ける。
渋谷駅周辺の街なかでは、森山さんの屋外写真展「STREET」を展開。東急電鉄が落書き防止や街の活性化も見据えた未活用壁面をメディアとして活用する事業「ROADCAST(ロードキャスト)」を使って行う写真展。街なか63カ所に森山さんのストリートスナップ147点を展示する。ストリートスナップを撮り続けている森山さんは「街で撮ったものは街に返す」という考えを持っていることから、初の屋外展示を「とてもうれしい。やっと街に返すことができた」と言う。
渋谷モディ(渋谷区神南1)1階にあるソニーグループの情報発信拠点「Sony Square Shibuya Project」では、公募で選ばれたクリエーター6人の作品を展示する公募作品展を展開。「渋谷の今」を捉えた作品で、それぞれ毎日、展示写真が変わっていく(1枚ずつ増える)。
展示作品は、大西祐司さん=月曜~木曜にはゴミ拾いをしている人など働いている人、金曜には街なかではしゃいでいる若者、土曜・日曜には昼間の渋谷の人たちの写真を、それぞれ増やしていく。音楽の楽曲制作手法「循環形式」を取り入れた作品で、上記3つのテーマを繰り返す(=循環させる)ことで渋谷を「より膨らみを持たせて」表現することを試みた。マカオ出身のヨウ・ウヨウさん=「渋谷を構成するもの」として建築物とポートレートを交互に増やしていく。バルテック・マスラクさんは展示写真の撮影のために初来日。「人の多さ」「光の多さ」など出身地・ポーランドと異なる点を捉えた写真を展示する。
鑑賞無料(ただし、鑑賞には渋谷駅の入場券が必要)。開催期間は、UNDERGROUND=今月8日まで、STREET=今月15日まで、作品公募展=9月中旬まで。