レストラン「KICHIRI渋谷」(渋谷区宇田川町)で7月20日、VR(仮想現実)ホラー体験付きのメニューの限定提供が始まる。
同店をはじめ外食事業を中心に手掛けるきちりホールディングス(以下きちり、大阪府中央区)と映画や歌舞伎事業を中心に展開する松竹(中央区)の共同事業で、日本のホラーコンテンツ=「Jホラー」と食、VRを組み合わせた新たな体験を提供する試み。
松竹が同日から東京タワーで展開するお化け屋敷に合わせ展開するもので、同所で導入するVRパートを同店でも体験できるようにする。ウオークスルー型のお化け屋敷は一定の広さが必要となるが、VRパートを単独でも楽しめる内容にすることで、ウオークスルーとは別の場所や限られた空間でも展開できるようになる。技術の進歩に伴いエンターテインメントの「見せ方」が変わる中、松竹は「広い意味でレストランもエンタメ施設の一つ」と位置付け、飲食店での実施を決めた。
きちりは、AI(人工知能)を使った面接システムを作る子会社を持つなど、ITやAI、VRなど先進技術と食を融合させる「フードテック」企業の側面も持つ。加えて「日本のいいものを世界に展開したい」と考えていることもあり今回の取り組みに参画。両社は同様の取り組みを、東南アジアを中心とした海外でも展開したい考え。
今回は、「ホラーコンテンツを体験する人の中で割合が高い」大学生や20代前半の若年層が多く、若者が集まる街であり海外からの来街者も多いことから渋谷での展開を決めた。期間中は同店の個室1室をVR体験用の空間として装飾。体験客は「お守り」として数珠を受け取って個室に入り、体験後には清めの塩を受け取り退室する。一度に体験できるのは最大6人。
提供するVRコンテンツ「老婆の呪面(じゅめん)」は、松竹の子会社ミエクルが制作。殺された人間の顔で作られたお面「ハギトリの呪面」が鍵となりストーリーが展開する。所要時間は約6分。
VR体験付きメニューは4種類。VR映像の中に登場する老婆が作ったスイーツをイメージしたフォンダンショコラ「老婆のフォンダン~おかわりちょうだい~」(950円)は、生地の中に血をイメージしたラズベリーとドラゴンフルーツのソースを閉じ込めた。ナイフや皿には血を想起させるベリーソースをあしらう。「清めの酒~現実か、幻か!?」(842円)はトマトジュースまたはブラッドオレンジジュースを黒ウオッカで割り、グラスの縁に黒塩を付けるカクテル。
「夏」「和」をテーマにしたフードや飲み放題が付く「老婆の呪面コース」(5,000円)、23時以降に注文できる「丑三(うしみ)つ時コース」(2,500円)も用意する。
営業時間は17時~翌2時(金曜・土曜は翌5時まで)。10月31日まで。