一部の来街者らによる犯罪・迷惑行為などが問題になっているハロウィーン期間などに限り、路上での飲酒などを禁じる条例が渋谷区議会で可決・成立し、6月20日、施行された。
「ハロウィーンは節度を持って」と呼び掛けた長谷部区長(昨年の様子)
不特定多数の群衆の来街自体を防ぐ手だてが無いことなどから解決策が限られる中、条例を設けることで歯止めをかける一方、長谷部健渋谷区長は「一部の心ない人たちの迷惑行為や犯罪行為。本来であればマナーやルール、道徳の範ちゅうで解決されるべきもの」などとコメント。「条例が必要となるに至ったことは大変残念」と悔しさもにじませた。
19日の議決を受け施行されたのは「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」。ハロウィーン期間として10月31日と11月1日、ハロウィーン直前の10月24日~30日の金曜・土曜・日曜を対象に、規則で定める区域内の道路、公園、広場などの公共の場所での飲酒を禁じる。ほかに、音響機器などによる騒音行為や放尿など、街路灯・標識・屋根に上る行為の禁止も明記した。違反者への罰則は規定しない。
条例では対象区域を渋谷1丁目・2丁目・3丁目と桜丘町、道玄坂1丁目・2丁目、宇田川町、神南1丁目、神宮前6丁目と定めるが、施行規則ではさらに路上飲酒禁止エリアを限定し、ハチ公広場や渋谷センター街、SHIBUYA109周辺など特に混雑が予想される地区を指す、道玄坂1丁目1番~18番、道玄坂2丁目、宇田川町12番~36番、神南1丁目20番~23番を対象とした。
路上飲酒はハロウィーン期間だけでなく、年末年始(12月31日と1月1日)のカウントダウンと、その他、区長が特に必要と認める期間も制限の対象に。事業者の責務にも触れ、区が実施する酒類の販売自粛などの施策に協力しなければいけないとした。
長谷部区長は「渋谷は多様性や寛容さを尊重し、そのバランスを取りながら発展してきた街。ハロウィーンやカウントダウンといった期間中、渋谷を愛する思いを共有し、安全で快適な秩序をもってこの街で楽しんでいただくための条例」と、人が集まり、楽しむこと自体を規制するものではないと強調。「街の安全・安心とにぎわいの両立に責任を持つ立場として、この条例の理念の浸透を図り、区の責務を果たす」と問題解決に取り組んでいく意向を示している。