渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)のホールで5月29日、日本発アジア最大級の短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア(以下SSFF & ASIA)2019」のオープニングセレモニーが行われた。
俳優の別所哲也さんが創設者となり1999年に原宿で始まった「ショートショート フィルムフェスティバル」。2004年には米国アカデミー賞から公式認定を受け、アジアの作品を集めた「ショートショート フィルムフェスティバル アジア」を兄弟映画祭として初開催した。以降、SSFF & ASIAとして両祭を同時開催している。
今年は、世界130の国と地域から集まった約1万作の中から約200作品を表参道ヒルズ(神宮前4)やシダックス・カルチャーホール(神南1)などの会場で上映。初の試みとして、約50作品を公式サイト上で見られるようにする「オンライン会場」も設けた。
セレモニーでは、6つの賞を発表・表彰した。そのうちの一つ「Shibuya Diversity Award」は、区の基本構想普及啓発活動の一環でダイバーシティー(多様性)とインクルージョン(包括・包含)をイメージした短編映画を上映するプログラムとして、2017年から展開している。
6作品がノミネートした中から今年のアワードに輝いたのは伊ヴィト・パルミエリ監督の「街角のワールドカップ」。イタリア南部の小さな街角でサッカーの「ワールドカップ」が企画されるが、企画者たちのチームと移民の若者たちによるチームのイタリア代表が2チーム出場することに――。
長谷部区長は選定理由について、「渋谷にとって多様性は街の原動力だが、日本は島国ということもあり、単一民族じゃないのにそうだと誤解するくらい多民族の意識が薄いのでは。『国籍』というテーマを掘り下げながらもユニークに描いているので、渋谷の人たちにその視点(=多民族)を意識してもらうには面白い作品なのでは」と説明する。
パルミエリ監督は「社会的な要素を含んだテーマだが、コメディーやスポーツの要素を取り入れて作った。ダイバーシティーをテーマにした賞がもらえたことは、伝えたかったメッセージが伝わったということだと思うのでうれしい」と喜びを表した。
この日は、長谷部渋谷区長と、渋谷に拠点を置くBリーグ「サンロッカーズ渋谷」のベンドラメ礼生選手がプレゼンターとして登壇。レッドカーペットではユニホーム姿で登場したベンドラメ選手が、ディフェンダーに見立てた長谷部区長をドリブルで抜き去りレイアップシュートを放つ真似をするパフォーマンスを見せた。
日本人とブラジル人のハーフであるベンドラメ選手は「小学生の時は(名字が)カタカナでいじられた」と言うが、「バスケットもハーフが増えていて、身体能力が高い選手が多いのでハーフでよかったなと思うことはよくある」と話す。
初参加となった舞台に、「気持ち良かった。このような舞台に登壇できるのもうれしいし、バスケットがアピールできたのもよかった」と振り返りつつ、「きれいな人たちがいっぱいいるなと、そこに一番目がいっちゃう」と笑顔を見せる一幕も。映画は「ホラー以外だったらよく見る」と話し、最近見たのは「アベンジャーズ/エンドゲーム」「キングダム」「名探偵コナン 紺青の拳」とも。
長谷部区長は「重いメッセージも入っているがスポーツがテーマなので見やすい。(何かしら)受け取って感じてもらえたら」と観賞呼び掛ける。同作は「オンライン会場」で見ることができる。
開催期間は、表参道ヒルズ・スペースオー=6月6日~9日、シダックス・カルチャーホール=6月13日~15日。映画祭の鑑賞料は一部イベントを除き無料。6月16日まで。