障がいがある作家たちの作品を展示する「日本財団DIVERSITY IN THE ARTS公募展2018」が現在、東急本店に隣接する複合文化施設Bunkamura(渋谷区宇田川町)1階のBox Galleryなどで開催されている。
国際障害者交流センター(ビッグ・アイ、大阪府)が主催していた公募展を日本財団が引き継ぎ、障がい者のアート活動を中心に「インクルーシブ(包括的)な社会」の実現を目指すプロジェクト「日本財団DIVERSITY IN THE ARTS」の一環。「それぞれ違う普通が個性として輝いている街で、(多様な人たちを)受け入れられる街」(日本財団公益事業部国内事業開発チーム・シニアオフィサーの竹村利道さん)と判断し渋谷で開催した。
身体的・精神的問わず障がいのある人たちが手掛けた作品を国内外から公募し、16カ国から集まった2256点の中から選ばれた審査員賞・入賞作品と海外からの作品の中から選んだ計85点を展示する。審査員は、東京芸術大学大学美術館館長・教授や練馬区立美術館館長などを務める秋元雄史さん、イラストレーター上田バロンさん、アール・ブリュット(アウトサイダー・アート)誌「RAW VIION」主任編集者のエドワードM.ゴメズさん、美術家でアートディレクターの中津川浩章さんら8人。
作品は、「おどろおどろした物」が好きな作家が緻密に描いた自身なりの怪魚「百頭魚(ひゃくとうぎょ)」、施設職員など身近な人たちの顔の写真コラージュ作品、魚「ハナミノカサゴ」と昆虫「ハナカマキリ」を花と一緒に色鮮やかに描いた作品、図鑑を基にしながら「遊び心で」こいのぼりを描くなど紙全面に魚を描いたペン画、無数の毛糸や糸を縫い付けたYシャツ、美大に通っていた作家が発泡スチロールや新聞紙、全身タイツなどで作った人形に模様を描くなどした立体作品、コーヒー豆を引いている人の写真モチーフに10Bの鉛筆で描き上げた鉛筆画「はねる」と書いた書など幅広い。
海外の作家の作品は、レトロな街並みで知られる台北「ダーダオチェン」を描いた油彩画、砂を混ぜた絵の具で描いたオウム、ファンシーな少女を描きながら毒々しい背景などで「恐怖」を暗示させるクレヨン画など19点。
竹村さんは「多弁ではないがものすごく雄弁。どうしてこんな表現ができるのだろう、いろいろな発想の自由さってもっとあっていいのだと考えさせられるきっかけなのでは」と話し、「アートがコミュニケーションチャンネルとなってつながっていく社会のつながり方を、多様な人のアート活動を通して社会に伝えたていきたい。そんなきっかけになれば」と期待を込める。
開催時間は10時~19時30分。入場無料。5月26日まで。