昨年引退した歌手・安室奈美恵さんの手形をかたどり、引退後も「SHIBUYA109(以下109)」(渋谷区道玄坂2)エントランスの柱に常設されてきたモニュメントが、新しい台に置かれる形で移設される。
モニュメントは昨年、全館を挙げた安室さんの引退関連イベントが始まる前に、安室さん本人が渋谷に訪れ手形を取り制作したもの。イベント開催時は1階エントランスのエレベーターホールに設置され、来館したファンたちが自身の手と合わせたり写真を撮ったりする姿が見られ、引退直前には終日長蛇の列もできた。
引退日となった9月16日の同館営業終了後、その日のうちに取り外され、翌日未明まで掛けてエントランスホールの柱に取り付けられた。1990年代に厚底ブーツやミニスカートなど安室さんのファッションを模した「アムラー」が通ったファッションビルとしても知られる109では、引退後も「安室さんは109にとってレジェンドのような存在」として、途切れることなくモニュメントを展示し続けてきた。
手形は現在、エントランスの柱ではなく、館内に入ってすぐのインフォメーションカウンターの上に仮置きされている。同館が40周年を機に行った大規模リニューアルに伴い、エントランスフロアの改装工事中に一時移設した。
SNS上では、訪れたファンの「なくなったと思ってたけど移動しただけで良かった」などの投稿も見られ、安室さん引退後も「いつでも訪れられる場に」と常設を決めた同館の思いがファンにも届いている。「仮置き」された場所は決して目立つ場所ではない中、訪れるファンは途切れない。
5月13日、埼玉県から親子で訪れた30代の女性も、仮置きされたモニュメントに手を添え撮影。引退前にはファイナルツアーにも出向き、今も通勤中や「テンションを上げたい時」などに安室さんの曲を聴いたりライブDVDを鑑賞したりしているという。北海道から観光で訪れた20代の女性会社員は手形に触れ「大きいなと思った」。「全部がかわいい」と安室さんの魅力を語り、モニュメントの常設について「いいことだと思う」とも話していた。
リニューアルでは、引退時にモニュメントが置かれていたエレベーターホールに大型サイネージを設置し、これまで金色だった柱も新コンセプトに合わせパール感のあるペールトーンに改装。手形の下に「あなたの素敵な毎日に音楽がいつもあふれていますように」(原文ママ)との安室さんのメッセージが添えられたモニュメントは、柱の下部に新たな台をしつらえ、5月末にも戻ってくる予定。