2014年3月に閉館した商業施設「青山ベルコモンズ」の跡地で三菱地所が開発を進める「(仮称)北青山二丁目計画」の完工予定まで約1年となった。
1976(昭和51)年、当時アパレルチェーン大手だった「鈴屋」が施設開発を手掛け、青山通りと外苑西通りが交わる青山三丁目交差点角にオープンした青山ベルコモンズは、建築家・黒川紀章が設計を担当。先鋭的なファッションブランドや飲食店、文化施設が入居するファッションビルとして注目を集め、青山エリアのランドマークになっていた。
開発計画は2017年12月に着工し、青山ベルコモンズの歴史性を踏まえ、「多種多様」な人が交流する空間を目指し、地上20階・地下2階、延べ床面積約2万2910.61平方メートルの施設に、オフィス・ホテル・商業ゾーンを整備する。2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴い新国立競技場の建設も進む青山エリアのにぎわいを見据え、容積・形態の制限を緩和する都の統一的基準を設けた「総合設計制度」を活用。ホテルは、国内外でホテル・レストランを展開する「Plan・Do・See」(千代田区)が運営する。
現代的な設計の外観は、ガラスファサードのデザインに加え、低層部を「緑豊かで開放的な空間」とし、圧迫感を抑え周囲の街並みや景観との調和を目指す。1階・2階は店舗、5階~15階はオフィスが入り、商業区画は「青山ベルコモンズの系譜を継ぐ商業ラインアップ」を予定。オフィスフロアは、コワーキング機能も備えるという。地下2階は駐車場。
3階~4階、16~20階に入るホテルは、3階にイベントスペースを設けるほか、訪日外国人向けにさまざまなジャンルの飲食店を用意。ルーフトップはレストラン・バーテラススペースとなる。客室数は42室、客室サイズは約30~60平方メートル。2020年上期の開業を予定する。
入居テナント向けのBCP(事業継続)対策で、非常用発電機や防災備蓄倉庫を備え、北側広場には災害時に温かい食事などが提供できる「かまどベンチ」を設置。屋上に設置する太陽光パネルから建物内に電気を供給し、環境にも配慮する。