Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が3月27日、墨田区総合体育館で千葉ジェッツ(同、千葉)と戦った。
32点をマークしBリーグ通算1000得点を超えたライアン・ケリー選手
今季4戦目となった両チームの戦い。攻守の切り替えが早い千葉のオフェンスを抑えることを意識したSR渋谷は、千葉のオフェンスを引っ張る富樫勇樹選手に対し、ディフェンスに定評がある広瀬健太選手を中心に付けた。30センチ近い身長差に「やりにくさはある」という広瀬選手だったが、最終クオーター(Q)には、富樫選手のレイアップをブロックショット(シュートブロック)する場面も見られ作戦が功を奏した。広瀬選手も「簡単なシュートをやらせないためにも僕が付いていたので良かった」と振り返った。
試合の立ち上がり、警戒していたスチール(ボールを奪うプレー)からの速攻などで2-8とされると伊佐勉ヘッドコーチ(HC)はすかさずタイムアウトを要求し、ゲームプランを再確認。その後は、千葉にあえて打たせたオープンな3ポイント(P)シュートのリバウンドから速攻も出るようになり、拮抗(きっこう)した展開に。オフェンス面では「エナジーを持ってプレーしよう」とゲームに入ったライアン・ケリー選手が、1対1で強さを見せたほか、狙っていたミスマッチをうまく突くなど得点を重ねた。
第3Qには、盛實海翔(もりざね・かいと)選手がプレッシャーをかけられながらも、フリーの清水太志郎選手へのパスを通すと清水選手も3Pをしっかり沈めるなどベンチメンバーの奮闘も見られ、勝負の行方は最終Qにゆだねられた。明暗を分けたのは試合終盤。残り1分10秒で4点を追う場面、伊佐HCはタイムアウトを要求し攻撃を組み立てる。盛實選手のドリブルに合わせ、サクレ選手はペイントエリア(ゴール下の制限区域)に飛び込み、ケリー選手は3Pラインの外に開きパスを受ける予定だったが、千葉マイケル・パーカー選手にパスを読まれスチールされ流れを千葉に明け渡し、76-87で敗れた。
両者の戦いは今季まだ2戦残っていることから伊佐HCは詳しく話さなかったが、SR渋谷は千葉に3Pを打たせる作戦を貫き、結果として36本中12本(33.3%)と抑えた。伊佐HCは「負けたので失敗だったのかな」と言うが、千葉・大野篤史HCは「シュートが入るだろうとあまり対応策を練らなかったのが接戦になった原因」と、効果は発揮された様子もうかがえた。一方で、伊佐HCも選手たちも敗因として口をそろえたのはターンオーバーで、この日は17本を犯している。ケリー選手は「千葉は手を出してミスを誘発してくるチームなので、気を付けていたが、うまく対応できなかった」と悔しさをにじませ、ロバート・サクレ選手も「ボールを大事に扱わないといけないと痛感した」と肩を落とした。
チャンピオンシップ(CS)出場に向け負けられない戦いが続くSR渋谷。「バイウイーク以降CSに向けてという会話が明らかに増えたし、意識もベクトルが変わってきている。意識的に一戦一戦、戦うようになってきている」とチーム内の変化を明かしたケリー選手。伊佐HCも「一人一人のやることが明確になって、選手が表現しようとする努力が同じ方向を向いている」と選手の成長も口にする。
広瀬選手は前節京都ハンナリーズ戦から身を粉にして戦っている印象を受ける。「やるしかないという、いい意味で開き直りはある。京都戦辺りから自分らしさが出ている」と手応えを感じつつ、「内容より勝つか負けるかなので、やるしかない」と強調する。この日は千葉のファンも多く見られた。サクレ選手は「会場をサンロッカーズファンで埋めるために、魅力的なチームを見に行きたいと思われるプレーを続けたい。自分がチケットを買って全員に配りたいくらい」と応援を呼び掛けた。
SR渋谷は今月30日・31日にアウェーでレバンガ北海道と戦う。31日には、「Bane BAGUS 渋谷宮益坂」(渋谷区渋谷1、TEL 03-5778-9962)でパブリックビューイングを行う。参加費は3,000円(2ドリンク、抽選券付き)。定員100人。電話で応募を受け付けている。