Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が3月13日、栃木ブレックス(同、栃木)と戦った。3514人が来場し、SR渋谷はホームアリーナの通算来場者数が20万人を突破した。
「ディフェンスがソフトに入ってしまった」(ベンドラメ礼生選手)試合の出だし、連続でフリーの3ポイント(P)シュートを許すなど第1クオーター(Q)で14点差を付けられる。第2Qは「ムーさん(=伊佐勉ヘッドコーチ)に言われてディフェンスに気持ちが入った」というベンドラメ選手がスチール(ボールを奪うプレー)から速攻を決めると、広瀬健太選手はブロックショット(シュートブロック)からチャンスを作るなど好守を見せ、栃木を10点に抑えた。同時にライアン・ケリー選手の1対1や3Pなどで得点を重ね4点差まで詰め寄った。
勢いに乗りたい後半だったが、リバウンドを取られ序盤で再び10点差を付けられる。広瀬選手がルーズボールに飛び込みボールをつないだり、ベンドラメ選手がオフェンスリバウンドに飛び込みボールをタップしリングに押し込んだりボールへの執念を見せたほか、ロバート・サクレ選手も1対1からファウルを誘発したりブロックショットからチャンスを作ったり攻守でチームを引っ張った。サクレ選手、ケリー選手がダンクを決めるなど気迫のこもったプレーを見せるも、最終Q中盤までは点差を縮められず苦しい展開が続く。サクレ選手の1対1、ベンドラメ選手のドライブ(ドリブルでゴールに迫るプレー)、ケリー選手のスチールからの速攻で2点差に詰め寄ると場内の盛り上がりはピークに。栃木のタイムアウト明け、ボールを運んでいた栃木・鵤(いかるが)誠司選手の足がもつれ倒れ込みかけたがボールを奪えず。マークしていたベンドラメ選手は「プレッシャー掛けていたら取れていたかもしれない。チャンスをものにできなかったのはディフェンスの緩さ」と悔やむ。直後栃木のシュートは外れるもリバウンドでつながれ、77-83で敗れた。
試合の出だしと終盤が明暗を分けたこの日。伊藤駿(たかし)選手がけがをしていることもありスタメンでの出場が続いている山内盛久選手は「(試合の入りは)ガードがコントロールしながらやっていかないといけない」と反省点を挙げ、ベンドラメ選手は「最後の最後に自分たちのミスで負けた印象。残り5分の集中力は課題。強く言っていかないとだめ」と肩を落とした。伊佐HCは「入りの勢いと終盤の集中力が力の差」としつつも、「カムバックできたのはチームとして力がついている」と一定の評価を示した。
ケリー選手が「(栃木は)ハーフコートでフィジカルなチーム。走って違いをつけることを意識した」と振り返るよう速攻からの得点も多く見られ、「確実に良くなっている感覚がある。特にオフェンス面で向上している」と手応えを伺わせた。栃木戦ではライアン・ロシター選手と「ライアン」同士のマッチアップも見られるが、「同じ名前として負けたくないのはある(笑)。彼は長く日本でプレーしていてリスペクトしている。次は負けないように守りたい」と話した。
残り15秒でスチールから3Pを決めたり、残り3秒の場面でオフェンスリバウンドからボールをつないだりした山内選手は「最後のブザーが鳴るまで戦う姿勢を見せることがお客さんへの誠意。そういうことを積み重ねて勝てれば喜ばせることができるが、最後でやるのではなく1Qの入りからエナジーを持ってやらないといけないと再確認した。点差以上の力の差を感じた」と振り返った。
チャンピオンシップ進出に向け負けられない戦いが続くSR渋谷。山内選手は「本当に崖っぷちなので、下を向いている暇はない。前を向いてやるだけ。3月でしっかり望みをつなげられるようにチーム全員でバスケットをしたい」と意欲を見せた。
SR渋谷は2節連続アウェーで戦った後、3月27日にホームで千葉ジェッツと戦う。