青山通りから一本入った「都営青山北町アパート」跡地で進む大規模再開発「(仮称)北青山三丁目地区まちづくりプロジェクト民活事業」の着工から1年がたった。
都営住宅団地「青山北町アパート」の老朽化を受け、東京都が民間開発を段階的に誘導しながら進める再開発事業「北青山三丁目地区まちづくりプロジェクト」の民活事業。建て替えにより団地を高層・集約化するとともに、青山通り周辺エリアの拠点となる複合市街地の形成にも向け、東京建物、三井不動産、三井不動産レジデンシャルの3社が事業主体となり昨年3月に着工した。
まちづくりの対象となるのは、表参道駅からも近く、青山通りや表参道などの通りに近接する約5.8ヘクタールの地区。新築する地上20階の「(仮称)都営北青山三丁目団地」(今年9月完成予定)と、2020年5月の完成を見込む民活事業用地が南側に位置。、沿道一体型の開発を検討する北側の「業商複合ゾーン」は2021年以降の着工を目指し、クリエーティブ産業の集積を促すオフィス機能や、にぎわいの核となる商業機能、文化教育機能を持つ施設や駐車場を複合的に整備する計画。
すでに建設工事などが進む民間活用事業では、都有地を約70年間の定期借地で借り受ける。施設は25階建てで、高さ約90メートル。敷地面積は約7895平方メートル、延べ床面積は約3万4800平方メートル。「多様な」ライフスタイルに対応する賃貸住宅やサービス付き高齢者向け住宅、店舗などを整備するほか、約3500平方メートルに及ぶ森のような緑地空間を創出。「自然回帰」「文化創造」「にぎわい創出」などをテーマに開発を進める。
建物・景観デザインは、建築家・隈研吾さんが監修・協力し、大規模な森と調和した外観デザインを計画。緑地空間全体のデザイン監修は、ランドスケープ・プラス(文京区)の平賀達也さんが手掛け、樹種の選定には東京農業大学の濱野周泰教授が協力する。明治神宮など計画地周辺地域の潜在植生や生態系に基づき外構を計画し、さまざまな生物が持続的に生息できる緑地空間を整備。隣接する児童遊園や、沿道一体型の開発事業とも連携を図り、エリア一体で連続した「森」の創出を目指す。
緑地に面し、1・2階に店舗・保育所(運営予定者=東京建物キッズ)を配置。1階の地域交流施設はエリアマネジメント活動の拠点としても活用する予定。総戸数229戸の賃貸住宅は5~25階に入り、国籍や世代など、それぞれの居住ニーズに対応するプランやサービスなどを計画。入居者間の交流や創作・表現スペースにもなるサロンや、在宅勤務向けのテレワークスペース、フィットネスルームなどの共用施設を整備し、英語対応コンシェルジュも配置する。
2~4階には、東京建物シニアライフサポート(中央区)が企画するサービス付き高齢者向け住宅も整備。総戸数49戸。自立した高齢者をはじめ、専任の看護師と介護士が施設内に 24時間常駐し、手厚い介護サービスを必要とする高齢者にも対応するという。隣接の都営住宅や近隣住民に向けた医療・介護サービスの拠点として、訪問看護事業所や訪問介護事業所なども併設する。