小田急小田原線「代々木八幡駅」が刷新され、3月16日の始発から供用される。
1927(昭和2)年開業の同駅は各駅停車のみが停車し、1日平均乗降人数は2万527人(2017年度)。これまで6両および8両編成で運行してきた同線の各駅停車は、下北沢地区の複々線化事業の完成に合わせ、輸送力増強などを目的に10両編成を計画した。
同駅はこれまで相対式ホーム(2面2線)だったが、3月16日のダイヤ改正で各駅停車の一部が10両編成になることから、10両対応の島式ホーム(1面2線)に変更。ホームは相対式の165メートルから島式の210メートルへと小田原方面に45メートル延伸した。新宿方面ホームの一部は現状屋根がない状態だが、現在使っているホームを解体した後で整備していく。小田原方面ホームの屋根は、山手通りと自由通路をつなぐ連絡通路と同時に整備する。同駅のホームは同社の沿線内で最も急なカーブ(上りR203=半径203メートル、下りR207=同207メートル)だという。
ホームが島式に変更されるのに伴い駅舎も刷新。新駅舎は、建築面積約1400平方メートル、高さ約15メートル。鉄骨造りの橋上駅舎が新たに造られた。「洗練されたシャープな外観」が特徴で、大型ガラスから採り入れる自然光や内装に使う木材などで「温かみを感じさせる」空間にしたという。環境に配慮して自然換気も取り入れるほか、改札の内外にエレベーターを設置するなどしてバリアフリーも充実させる。エレベーターは、改札内(改札階~ホーム階)と改札外(自由通路の南北に各1基)にそれぞれ整備し、エスカレーターも改札内外に設置する。広く取った改札内のコンコースは、将来的にはイベントスペースとしての活用も視野に入れる。
トイレ内には多目的トイレを男女それぞれ用意するほか、女性用トイレにはパウダーコーナーも作った。壁面に装飾した木の一部は、工事のためにホームを解体した時に出てきた基礎ぐいを使っている。
新設した島式ホームには、同社線ホームとしては2カ所目となるホームドアを設け安全性を高める。これまで、ホームドアの開口部に電車の扉の位置を合わせて止める技術的課題があったため「なかなか進まなかった」が、定位置停止装置(TASC装置)を導入し、定位置から35センチ以内で止めることが実現した。仕様は、高さ1メートル30センチの腰高式で、扉部分は透明の強化ガラスになっている。開口幅は2メートル30センチまたは2メートル48センチ。電車とホームの隙間が空く箇所があることから、上りホームの2・3扉(20カ所)には20センチのステップが張り出すようになっている。現在は一部を除き、車掌がボタン操作で開放しているが、将来的には全て自動化する。
同社では2010年から、新宿~代々木上原間の各駅停車の10両編成での運転を目指して区間内の南新宿駅、参宮橋駅、代々木八幡駅のホーム延伸工事を進めてきたが、代々木八幡駅の完成で延伸工事が全て完了する。
今後は、現在階段とエレベーター(2基)のみの自由通路にエスカレーター(北側1基、南側4基)、自由通りと山手通りをつなぐ連絡通路、南北に通す自転車専用横断橋を2019年度中に設置する。