ハロウィーン前後に渋谷駅周辺で一部の来街者らによる犯罪・迷惑行為が問題となっている中、渋谷区は2月27日、対策を関係者らで協議・検討する「渋谷ハロウィーン対策検討会」の第1回を開いた。条例化も視野に入れ、6月をめどに具体策をまとめる方針。
長谷部区長は、一部が暴徒化するなどの事態に対し、「渋谷が危ない街だという印象を持つ人もいることは遺憾」と話し、「個人的には、あのエネルギーをポジティブな力に変えていけたらと思う」とする一方で、区に寄せられた中止を求める意見などについても検討し、「中止なのか、イベント化するのか、秩序を持って開催できるように(検討会から)提言を頂く」と今後議論を重ね具体策を決定するとした。
年末年始などにも多くの来街者が集まる渋谷エリアでは2014年以降、ハロウィーン前後の週末を中心に仮装した人たちが集まるようになり、犯罪・迷惑行為や暴走車両が集まるなどの騒音問題も発生。区が主体となったイベントは行っていないものの、2016年からは警察の協力の下、文化村通りや道玄坂を一時的に交通規制したり、周辺のコンビニ各店などにアルコール瓶の販売自粛を求めたりするなどの対策を取ってきた。
長谷部区長がハロウィーンの約1週間前に会見を開き、「節度を持って行動を」と呼び掛けたにもかかわらず、昨年も直前の週末の深夜から未明にかけて騒ぎや犯罪行為が多発し、一部の動画が拡散されるなど、全国的にも批判の声が高まるかたちに。2月4日に発表した2019年度当初予算案には検討会の運営費も盛り込み、五輪開催などに向け防犯カメラを増設するために1億4,600万円を計上。ハロウィーンで騒ぎを起こす人たちの追跡・特定や犯罪抑止にも役立てたい考えを示していた。
ハロウィーン対策検討会は町会や商店会など地元関係者や区の関連部署で構成し、区民や来街者が安心して楽しめるハロウィーンの在り方を検討。第1回となったこの日は冒頭の長谷部区長のあいさつに続き、昨年のハロウィーンを振り返り、周辺商店会理事長や渋谷警察署警備課長などの出席者らが意見を交わした。
検討会で座長を務める元東京都副知事でNPO法人「おやじ日本」(渋谷区神南1)理事長の竹花豊さんは「今日の検討会では中止すべきという意見は出なかった」と、中止ありきではなく秩序を保ちながら地域活性化などにつなげていきたいという「共通認識は全員で共有できた」とし、「問題の実態は何かを探りながら、どう知恵のある提言ができるか、日本の在り方を世界に発信することにもつながる」と話した。
第1回検討会を終え、長谷部区長は「秩序をどう保つかがポイントになる。禁止するところはして、イベント化するところはするなど、必ずしも一つの方向性ではない。濃く回を重ねて提言をいただきたい」と要望した。