東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内、TEL 03-3280-0099)を中心に現在、「第11回恵比寿映像祭『トランスポジション 変わる術』」が開催されている。主催は東京都、同館・アーツカウンシル東京(東京都歴史文化財団)、日本経済新聞社。
同祭は2009年に始まったアートと映像のフェスティバル。「映像とは何か」を考えるため、毎年異なる総合テーマを掲げ作品を集める。11回目を迎える今年は「トランスポジション=置き換える」を総合テーマに、26の国・地域から67組(79人)の作家が参加し、72点の作品を展示する。
展示会場は同館地下1階、地上2・3階。実験アニメーションの「バイオニアのー人」であるレン・ライの作品は1930年代のカラー作品など6点展示。秋田・男鹿の祭り「なまはげ」をドローンやVRゴーグル、プラモデルなどで作った「秋葉原のなまはげ」(市原えつこさん)、脳や肺など作家の体の中身を3Dスキャンし、3Dプリンターで出力し金箔(ぱく)をはってジュエリーのようにした彫刻インスタレーション「エンゲージド・ボディ」(岡田裕子さん)、微生物から銀河系まで変容していくことを体感できるゲーム作品「エブリシング」(デビッド・オライリーさん)、一定の条件下で群集の動きがどのように変化するかをシミュレートした映像「トライブス」(ユニバーサル・エブリシング)、科学者が集めたデータや映像など化学的資料を基にマイクロスケールからナノスケールにズームインしていくオーディオビジュアルインスタレーション「ad/ab Atom」(黒川良一さん)など。牧野貴さんは初期のコラージュ作品と最新の4K作品を展示する。
1階のホールでは上映プログラムを展開する。作品は、新鋭映画監督ミディ・ジーさんが、初期から一緒に創作をしているシンホンさんが不眠症に悩み寺院で僧侶として過ごした2週間を追った「14個のりんご」(2018年)、アジアのショートムービーの映像祭「DigiCon6 ASIA」特集など。乳幼児から鑑賞できる作品として、探偵修行中でもある映写技師のキートンが、映写中に眠りに落ちて映画の世界に入っていき探偵として活躍する映画「キートンの探偵学入門」(バスター・キートン監督、1924年)も上演する。
オフサイト展示として恵比寿ガーデンプレイス・センター広場では、アメリカやフランス、タイなどで撮った日常的な人物や物などの映像をコラージュした、さわひらきさんの新作インスタレーション「プラッター」を展示する。音楽は、アコーディオンとコントラバスの音楽ユニットmama!milk(ママ・ミルク)が手掛けた。
近くの日仏会館(恵比寿3)では、新鋭映画監督の三宅唱さんが山口情報芸術センター(YCAM)と共に手掛けた初のインスタレーション「ワールドツアー」を同祭のために再構築。YCAMのスタッフら10数人が、山口の風景をはじめ東京やドバイなど2017年~2018年に撮影した映像日記2万カットを編集した。 そのほか、シンポジウムや出品作家によるラウンジトーク、恵比寿ガーデンプレイス内・センター広場での屋外作品展示、ザ・ガーデンルームでのライブパフォーマンス、恵比寿エリアの文化施設やギャラリーなどでの連携プログラムも予定する。
開催時間は10時~20時(最終日は18時まで)。入場無料(上映プログラムなど一部コンテンツは有料)。月曜休館。2月24日まで。