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東京メトロ銀座線渋谷駅、新駅舎のM形屋根工事公開 スライド工法採用

M形アーチを採用した銀座線新駅舎の屋根

M形アーチを採用した銀座線新駅舎の屋根

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 移設工事が進む東京メトロ銀座線渋谷駅新駅舎の屋根工事が2月7日未明、報道陣に公開された。

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 渋谷駅の大規模な基盤整備に合わせ、1938(昭和13)年の開業以来の大規模な改修工事を進めている同駅は2009年1月に着工。現在の相対式から1面2線の島式に変更するホームは、表参道駅方向に約130メートル移動し明治通りの上に新設し、ホームは約7メートルから約12メートルに拡幅する。同時にエレベーターやエスカレーターも整備し、他社線との乗換の利便性を向上させる。トイレやホームドアも新設する予定。

 公開されたのは、新しいホームの頭上に整備される駅舎となるM形屋根の設置工事。屋根のデザインは当初、ボックス形の「門形ラーメン構造」を予定していたが「圧迫感がある」と判断し「アーチ形」を考案。しかし屋根の上には自由通路「スカイデッキ」を整備することから、接触部分が小さくなり不安定になるため、頂部をそぎ落した「M形アーチ」に決まった。M形の鉄骨45本を等間隔に配置し造る屋根は全長約110メートルで、高さは線路から7.2メートル~9メートル。幅は23メートル~28メートル。下部は銀座線の黄色い車体がのぞけるようガラスを、上部はアルミパネルを採用。光や風が通るよう隙間を空けて配置する。デザインは、駅舎と合わせて建築家・内藤廣さんが監修している。

 今回の工事はクレーンを設置できる場所が限られていることから、作業構台で鉄骨の組み立てから内外装材の取り付けまでを行い、所定の位置まで移動させる「スライド工法」を採用している。屋根の両側に2基ずつ設置した油圧式ウインチで、あらかじめセットしたワイヤーを巻き取ることでスライド用のレール上を滑らせて移動する。移動速度は約1分間に15~20センチ程度だという。昼間に鉄骨などを組み立てる作業を、終電後の時間にスライドさせる作業を行っている。

 屋根の工事には2018年8月中旬に着工し、線路の上に屋根の鉄骨を組み立てるための作業構台(約30メートル×14メートル)を設置。昨年11月に1回目として20メートルの屋根を渋谷ヒカリエ側に、今年1月2回目として15メートルの屋根を渋谷駅側にスライドさせた。3回目となったこの日は、22.5メートル、290トンの屋根を約38分かけて7.5メートル渋谷駅側にスライドさせた。今後4月までに6回のスライド工事を行った後、作業構台部分の屋根工事を行い今年8月中旬に完成予定。その後、ホームの工事などに取り掛かるという。

 工務部第二建築工事所建築第三課の三丸力課長は、同工程に関して「約1年かけてスライド工事を行っている。苦労する点はあるが、次のステップに進める大きな作業になる」と位置付ける。「東京メトロは地下鉄だが、特殊な形状をした地上の物件で、駅前広場などからも銀座線の位置が明確になるように案内できれば」と意気込む。

 ホームは、2019年度下期に渋谷方面行きの線路を南側に移設し供用を開始、その後浅草方面行きの線路を北側に移設すると同時にホームの幅員を拡幅。2022年に新駅完成を予定する。スカイデッキの供用開始は東京五輪・パラリンピック後になる見通し。改良工事の総工事費約290億円(東京メトロ負担分は約100億円)。

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