Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が2月3日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で秋田ノーザンハピネッツ(同、秋田)と戦った。観客数は2794人。
前日の試合で左足首をひねったライアン・ケリー選手と、右足の親指を負傷した伊藤駿(たかし)選手を欠いた中での戦いとなったSR渋谷。ケリー選手に代わり、マーカリ・サンダース・フリソン選手が今季レギュラーシーズンの試合で初出場することとなった。
試合の1時間前に出場を言い渡されたこともあり「緊張していた」というサンダース・フリソン選手。第2クオーター(Q)には外角のショットで初得点を挙げ、リバウンドでも体を張った。最終Qには、「ヘッドコーチ(HC)から強調されたので意識を高めた」というリバウンドからチャンスを作った。約21分出場し「疲れたが楽しかった」と笑顔を浮かべた。
約4カ月試合に出場していなかったが、出場しない日も試合の前には誰よりも早くコートで練習をしていた。「自分ができることは限られていて、練習から常にハードにやることと、今日みたいに何かあった時のために準備をすること。コーチ陣がいつでも出られるように支えてくれた」と言う。加えて、「ロブ(=ロバート・サクレ選手)とライアン(・ケリー)選手がいて、自分が3番手なのは入団前から分かっていた。勝ちたいという気持ちや間接的にでもチームの助けになれればという思い、周りの人たちのサポートがあってメンタル的にも健康的に過ごせた」と言う。その一人であるフィアンセは今日本で一緒に暮らしている。奇しくも先週の金曜に一時帰国してしまったというが、「ネットでの見方を教えたので見てくれていると思う」と笑った。
試合は秋田ジャスティン・キーナン選手に外角のシュートを高確率で決められ序盤で2-10とリードを許したが、久しぶりにスターティングメンバーとして出場した広瀬健太選手が、スチール(ボールを奪うプレー)からレイアップを決めたりサクレ選手のダンクをアシストしたり持ち前のアグレッシブさを見せる。第2Qには一時12点差を付けられるもディフェンス(DF)リバウンドやスチール、ゾーンDFで秋田の得点を止めることに成功。残り25.5秒、SR渋谷は同Q最後の攻撃に向けタイムアウトを要求。伊佐勉HCがシュートを託したのは盛實海翔(もりざね・かいと)選手。試合前から練習していたステップバック(一歩下がってから)逆転となる3ポイント(P)をブザービーターで決め、場内を沸かせた。盛實選手は「期待に応えられてよかった」と振り返った。
第3Qは中盤まで拮抗(きっこう)した展開となるも終盤にゾーンDFを敷いた場面で、連続で3Pを許したほか、秋田・成田正弘選手にブザービーターを決められ7点ビハインドで最終Qに突入。「満員の会場で常に声を上げてくれていたみんなの声援が必要」とサクレ選手がファンをあおるジェスチャーを見せ場内を盛り上げていく。その声に応えるかのようにベンドラメ礼生選手がドライブ(ドリブルでゴールに迫るプレー)と3Pで連続得点を挙げ、中盤で逆転に成功。秋田の得点を5点に抑える堅守も見せ、69-62で勝利した。
伊佐HCは「一人一人が仕事を全うしてくれ、チーム一丸となって勝てた」と勝利を喜んだ。この日は2度突き放されかける場面があったが「フィジカルで来る秋田に対して引かなかったのが大きかった。3Q最後のブザービーターなど心が折れるタイミングがあったが、選手が一つになっていた」と振り返る。欠場したケリー選手については「プレーできるとは言っていたが、プレータイム制限するのとどれだけ秋田にファイトできるかを考えて休ませる判断をした」と言い、伊藤選手については「昨日の段階で今日は出られないと決まっていた。まだ分からないが、もしかしたら次節も出られないかもしれない」状況とも。
サクレ選手は「チームの努力と言うしかない。苦しい場面でもHCはチームの背中を押してくれたし、悪い流れをたち切って『やってやろう』というのが随所に見られたので下を向かずに追いかけられた」と話した。ビハインドで迎えた最終Qには10点をマークしたが、「礼生と自分が得点の軸というのは分かっていたが、チームメイトが信頼してボールを預けてくれたことと、チームが連動できたから」と要因を挙げた。「ライアンと駿の不在をみんなで補えた。特にコーリー(=サンダース・フリソン選手)はシーズン中ずっとプロフェッショナルな精神を見せてくれて、今日はそれを表現してくれたことを誇りに思う」と称えた。
SR渋谷は次節今月9日・10日はアウェーで栃木ブレックスと戦う。