渋谷駅前の「SHIBUYA TSUTAYA(渋谷ツタヤ)」(渋谷区宇田川町、TEL 03-5459-2000)が2月1日、新たなカルチャーの発信を目指すプロジェクト「NEST」を始めた。
TSUTAYAの旗艦店として1999年12月に開店し、渋谷のランドマークの一つとして知られる同店。今年で20周年を迎えるが、「時代の変化が激しい中、(街の)象徴であり続けるためには生まれ変わらないといけない」(清水悠佑店長)と考えたという。インターネットでさまざまな物が買えたり借りられたりするようになった中で、消費者に「支持される提案」として「ここにしかないモノ・コトの発信」に行き着いた。それを生み出すためのアイデアや人を集めるプラットホームとして同プロジェクトを立ち上げた。名称は「カルチャーが育つ『巣=NEST』になること」を目指し命名した。
プロジェクトのコンテンツは6つ。メインとなるのは「NEST PUBLISHING」で、出版だけでなく商品づくり、クリエーターの「やりたいこと」をさまざまな方法で形にしていくサポートをするプライベートレーベルとなる。それと対の関係になるのが「NEST EXCHANGE」で、国内外の書店やギャラリーなどと連携し、「NEST PUBLISHIG」で誕生したモノなどを紹介するとともに、各地の書店やギャラリーで流行しているモノなどを同店で紹介するなど、「カルチャーの輸出入」にチャレンジする。
個人・法人問わず作品の展示や販売などができるレンタルボックス「NEST BOX」は7階に設置。初回として「写真の学校(東京写真学園)」(渋谷3)とコラボし、在校生や修了生の写真集やZINEなどを展示・販売している。3月3日まで。
「NEST CHALLENGE」は、店舗の「お題」に対してアイデアを持った人たちを募集するコンテンツ。第1弾として、アーティストや作品を紹介する「コメントPOP」の制作。現在は2階にコーナーを用意し、募集するアーティストの作品を掲出している。参加希望者は1枚200円で参加できる。
これから始動する「NEST CONNECT」は、アイデアを形にしていくためのスキルを持ったクリエーターたちと共に考える「オンラインサロン」のような取り組み。「NEST GIFT」は、「歌手になりたい」「アーティストになりたい」など目標を持った人たちがアルバイトなどとして同店で働きながら、自身の作品などを店頭でアプローチすることができるようにする企画となる。250人弱が働く中で、200人以上がアルバイトとなる同店。かねて前山田健一(ヒャダイン)さんがアルバイトしていたことでも知られる同店では、そうした目標を持った人が多いことから「より意識的に取りんでいく」という。
プロジェクトの立ち上げを記念し、「NEST PUBLISHIG」の一環となるコンテンツを企画。第1弾は、インディペンデントマガジン「HIGH(er)magazine(ハイアーマガジン)」編集長haru.さんをディレクターに起用し、6階エスカレーター前にポップアップショップを展開。同誌(2,000円)やクリアケース(700円)などのグッズ、「NEST PUBLISHING」とコラボレーションしたZINE3種類(1,728円~、各100部限定)などを販売する。3月14日まで。
第2弾としてビンテージショップ「BOY」(宇田川町)のオーナー奥冨直人さんを、第3弾には2017 年に菅田将暉さん主演のショートフィルム「Summer break」を監督するなどしている野崎浩貴さんを、それぞれディレクターを迎えた企画を予定する。
今回若手のクリエーターをディレクターに迎えたが、清水店長は「世代によって考え方が変わっている中で、これから先の店のことや世界的なトレンドを考えても、若者の考え方ややり方がマッチしている」と判断し、若者を中心に訴求を図る。「今の渋谷ツタヤは完成してしまっている。それを崩して、時代やお客さまのニーズに合わせて変わっていく、完成しない店にしていきたい」と話した。
営業時間は10時~翌2時。