建て替え工事のため2016年に閉館した「渋谷PARCO(パルコ)」(渋谷区宇田川町)のリニューアルオープンを秋に控え、今年50周年も迎えるパルコ(渋谷区神泉町)は周年キャンペーンを立ち上げ、「原点進化」を軸に「新しいパルコ」を前面に打ち出す。
同社では池袋パルコが1969(昭和44)年11月23日に開業して50年の節目を迎える今年、春に「墨田区錦糸町駅前物件」、夏にサンエーと協業し沖縄に開く「サンエー浦添西海岸 PARCO CITY」、初秋に「川崎ZERO GATE(仮称)」、秋の渋谷パルコと、新たな施設の開業が続く。元日には「特別な年の始まり」として朝日新聞などに広告を出し、50周年特設サイトを立ち上げた。クリエーティブディレクターは箭内道彦さん(風とロック)、アートディレクターは小杉幸一さん(博報堂)。
2011年に現職に就任した牧山浩三社長は「原点進化」を掲げ、インキュベーション・まちづくり・情報発信を同社の強みとして経営を進めてきた。渋谷パルコ・パート3が開業した1981(昭和56)年を「原点」と振り返り、複数の施設開業を控える中でも「とりわけ大きな意味を持つ」と、周年キャンペーンでも秋に向け渋谷パルコの再開に照準を合わせていくという。
新築するビルは1棟で、地下3階~地上20階。高さは約110メートル。延べ床面積は約6万5000平方メートル。物販・飲食などの店舗、オフィスのほか、旧施設から引き続き劇場などの文化発信施設や若手クリエーター育成施設、事業化支援施設も入る。
建て替え工事中も仮囲いに漫画「AKIRA」のコラージュ作品を掲出するなど、情報発信を続けてきた。「まちに刺激を与え、同時に刺激をもらいながら渋谷を盛り上げた」旧渋谷パルコのあり方を継承し、「パルコらしい『空気』のようなものを根付かせていきたい」(牧山社長)と、新生パルコの確立を目指す。