Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が12月16日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で三遠ネオフェニックス(同、三遠)との2戦目を迎えた。観客数は2034人。
前日2度のリードを許しながらも勝利を収めたSR渋谷。要所でペイントエリア(ゴール下の制限区域)にアタックできていなかった反省点から、伊佐勉ヘッドコーチ(HC)は「リングへのアタックを優先的に考えていこう」と伝えたという。それに応えるかのように第1クオーター(Q)からベンドラメ礼生選手が積極的にドライブ(ドリブルでインサイドに攻め込むプレー)を仕掛け、ロバート・サクレ選手をアシスト。26点中16点がペイントエリア内での得点となった。
第3Q中盤には、「そろそろ人とボールが止まる時間帯」(伊佐HC)と判断し、伊藤駿(たかし)選手・ベンドラメ選手・山内盛久選手の3ガードを採用。約2分弱ではあったが、伊藤選手がリバウンドから速攻を仕掛けたほか、相手のミスからベンドラメ選手が前線のライアン・ケリー選手にボールを送りダンクをアシストするなどアグレッシブさを見せた。山内選手はこの采配を試合の「キーポイント」として挙げ、「HCが『ここ動こう』と話していたので、応えられて良かった」と話した。
21点の大量リードを奪って迎えた最終Qには、約1か月ぶりに清水太志郎選手がホームコートに立った。1本目の3ポイント(P)シュートは外れるも、「打てるシュートは打ちまくろう」とリバウンドからのセカンドチャンスはしっかりと決め切った。三遠がゾーンディフェンスを敷く中、山内選手は「アップテンポのバスケをするため」、ボールをプッシュし長谷川智也選手を走らせた。1本目はパスが通らずターンオーバーとなったが、2本目は長谷川選手のレイアップにつながり速攻に成功。「前に走ることを意識させるためにやったのでいいミスと捉えている」と振り返った。中盤以降はサクレ選手とケリー選手を下げ、日本人ラインアップを起用すると、ファイ・サンバ選手がスチール(ボールを奪うプレー)や倒れこみながらも得点を決めるなど躍動。試合は80対57で三遠から連勝するとともに、勝敗が12勝12敗と今季初の勝率5割となった。
終盤には10月に入団した秋葉真司も投入し、登録メンバー全員が出場を果たしたこの日。伊佐HCは「毎試合チャンスがあれば出したいと思っていたので良かった。スタートの選手やつないだ選手たちの積み重ねがあってこそ。チームとしてつながりができているのかな」と話した。勝率が5割になったことについては「こんなに早い時期に5割にのるとは思っていなかった。選手の頑張りでしかない」と選手たちを称えた。
前日残り24秒で出場し、ホームコートデビューを果たした秋葉選手。「名前を呼んでくれる声も聞こえ、うれしかった。やっとホームコートに立てたのはうれしかったが、もっと試合に絡む場面で出場できるように努力しなくては」と振り返る。この日は約2分30秒出場したが、チームで唯一得点を挙げられなかった。「打たないことには入らないので、打つチャンスを自分で勝ち取りたい」と意気込んだ。
次節22日・23日は、伊佐HCと山内選手の古巣である琉球ゴールデンキングス(以下、琉球)とアウェーで戦う。「どういう心境かまだ分からないが普通ではないと思う」と伊佐HC。山内選手は「気合いが空回りした」昨シーズンの試合を引き合いに、「すごくワクワクしている分、チームが勝つことを第一優先にバスケをしたい」と気を引き締める。琉球には、旧友で同じポジションの岸本隆一選手と並里成(なりと)選手が在籍している。「マッチアップは楽しみ。2人を止めることで、琉球も乗ってこないと思うので意識したい」とも。
岸本選手はSR渋谷との対戦を「ムーさん(=伊佐HC)も盛久もいることですごく特別な試合」と位置付けつつ、「くせとかも知られているのでやりにくくなるだろうなという思いもある」と話す。山内選手との対戦に「まずは相手が盛久と思わないことに集中しなきゃいけない。盛久にはいいプレーさせたくないが、互いにいいプレーをして勝負の中でも爽やかな試合をしたい」と意気込んだ。
山内選手に対し、クリスマス前ということもあり「バッドクリスマスにさせてやろうかな(笑い)」と宣戦布告。山内選手は「沖縄(=琉球)のころからクリスマスゲームは調子いいので、そのジンクスがまだ残っているのであればしっかり2勝できると思う」と応えた。