渋谷区を拠点とする3人制プロバスケットボールチーム「TOKYO DIME(東京ダイム)」が11月19日、長谷部健渋谷区長らを表敬訪問した。
東京ダイムは、2014年に5人制バスケのプロリーグ「Bリーグ」の現役選手でもある岡田優介さんが、お笑いコンビ「麒麟(きりん)」の田村裕さん、お笑い芸人・大西ライオン(大西功二)さんと共に設立。青山学院大学出身の岡田さんが開いたスポーツバー「DIME」(渋谷区渋谷2)から誕生したチームとして、渋谷を拠点にしている。
6月~9月に行われたトップリーグ「3x3(スリー・バイ・スリー).EXE PREMIER」の2018シーズンが終了したことから、活動報告を含め訪問した。東京ダイムはシーズン開幕前に渋谷ヒカリエ(渋谷2)内にコートを作り3x3のイベントを開くなど区内でも活動してきた。設立当初から地域活性に注力していることもあり、岡田さんは「渋谷は大事にしていきたい」と話す。区内での大会開催など「3x3ができる環境を増やすこと」や、区と民間企業などが協働で地域社会の課題解決を図る包括連携協定「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定(通称S-SAP、エス・サップ)」締結への意欲も見せた。
渋谷区内はグラウンドを整備する土地があまりないことから、長谷部区長は「体育館競技を強化していきたい。(バスケの)聖地のような場所をもっと作りたい」と言い、代々木公園の一角で多目的スタジアムの整備を目指すプロジェクト「代々木スタジアム」構想や、移転が決まっている岸記念体育会館(神南1)跡などでの可能性を示した。岡田さんは「現状コートを臨時で作るしかないので、常設コートがあるといい」と期待を込めた。
東京ダイムは今季、男子は8ラウンド中5度優勝しファイナルに進出するも、初戦で敗退しベスト16。今季初開催となった女子カテゴリーでは、総合優勝という結果を残した。男子も初年度に優勝を果たしていることから、男女共に同リーグ初代チャンピオンに輝いている。
得点女王に輝いた有明葵衣(あおい)選手は「(大会は)1カ月という短い時間だったが、チーム全員でまとまることができた。全チームの力が拮抗(きっこう)していて、毎週レベルアップできたのが(優勝できた)要因」と分析。選手全員が集まれる時間が限られている中、「岡田さんが電話をしてきてくれたことや、オンラインミーティングでイメージを共有できたことが大きかったのでは」とも。
加えて女子チームとしては初となる外国籍選手の米シャンテル・オサホー選手と契約した。「男女共に世界基準でやってほしい」と考えている岡田さんは、「トップレベルの選手と交わることは大事。外国人選手を入れて刺激を与えたかった」と意図を説明。有明選手は「海外の選手とプレーすることが初めてで、刺激的で有益な時間だった。結果以上の価値がたくさんあった」と振り返る。
昨季の倍以上となる36チームが参戦した男子。岩下達郎選手は「驚いたが、カンファレンス制で他のカンファレンスとの交流が無かったので多さは感じなかった」という。昨シーズンの王者として臨んだ今季は「チームとして熟成されてきて、総合優勝しかあり得ないという気持ちでやってきた」。大会中負けたことが無かった「SIMON」にファイナル初戦で敗戦した試合が「今でも脳裏に焼き付いている」と振り返り、2020年の東京五輪への出場も見据え「どこを伸ばせば(日本代表に)手が届くかなと見えてきている。このタイミングで悔しい思いができたことを財産にしてあと2年は走っていきたい」と高みを目指す。
来季に向け、「連覇は目指したいが、そこにとらわれすぎず、いかに今年の自分たちを超えるか。しっかり自分たちに矢印を向けてレベルアップしたい」(有明選手)、「結果が全て。総合優勝以外はない。ファンの皆さんに僕らができることは結果で恩返しすることだけ。(ファイナル敗戦後に見た)悲しい顔を忘れずに、来シーズンは全員笑顔で終わりたい」(岩下選手)と、それぞれ意気込んだ。
岡田さんはオーナーとしての役割が大きく、試合には「交代要員でたまに」出場。今季は兄弟チームの「大阪ダイム」含め3チームを運営した。「常に『3x3と言ったらダイム』と言われることを目標にしている。ブランド価値は高まっているのでは」と手応えをうかがわせ、「石を投げ続け、波風を立ててバスケ業界を変えていきたい」と意欲を見せた。
チームは合わせて、男子と女子それぞれのメインスポンサーであるメンズスキンケアブランド「BULK HOMME」を展開するバルクオム(渋谷3)と、青汁など美容商品ブランド「FABIUS」を展開するメディアハーツ(渋谷2)も訪問。支援の感謝を伝えるとともに、チーム名や「SHIBUYA」の文字などが入ったバンドを手渡した。メディアハーツでは祝勝会が開かれ、優勝を記念し花束やチームロゴが入ったケーキなどが用意された。