サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が11月18日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で京都ハンナリーズと戦った。観客数は1956人。
第1クオーター(Q)の出だしが試合を決めた前日を受け、「最初の3分が勝負と伝えた」伊佐勉ヘッドコーチ(HC)。その思いに応えるかのように、伊藤駿(たかし)選手がアグレッシブなディフェンス(DF)を見せたりボールをプッシュしたりしてテンポを上げ、開始3分弱で8対3とリードし、京都にタイムアウトを取らせた。伊藤選手は開始4分近くでファウルを2つ犯しベンチに下がることとなったが、「駿が体張ってくれたあの激しさが伝わった」と交代で出場した山内盛久選手も速攻を仕掛けファウルを誘うなど流れを引き継いだ。山内選手はシュート率こそ伸びなかったがDFやリバウンドへの「意識を高く持ち」貢献した。
第3Qで同点に追いつかれるも、「1本ずつ」という言葉を受け着実に得点を重ねていったSR渋谷。一時は拮抗(きっこう)するも、ライアン・ケリー選手や満原優樹選手のスチール(ボールを奪うプレー)から連続得点を挙げることに成功し、残り4分38秒のオフィシャルタイムアウト時には82対46とリード。終盤2分55秒にとどめの一発とも言える3ポイント(P)シュートを決めたベンドラメ選手は、ガッツポーズを見せ喜んだ。終盤京都は得点源のデイヴィッド・サイモン選手がシュートをするも、思うように加点できなかった。伊佐HCは「(速い)テンポでやり続けたことで、サイモン選手のシュートタッチがちょっとずつ崩れてきたのが分かったので、ガードのプッシュはインパクトがあったかな」と振り返った。SR渋谷は85対78で勝利を収めた。
第1Qから「積極的に点を取りに行った」ケリー選手はこの日シーズンハイとなる33点を量産。それを後押ししたポイントガード陣のアシストも多く見られた。山内選手は「プレータイムが長い中、コートの端から端まで走ってくれているので、ガード陣が生かせるパスをしていければ。大事にしていきたい」と言い、第3Qで(空中に出されたパスをキャッチせずに決める)タップシュートをアシストしたベンドラメ選手は「やっと1本上に投げて入った。ライアンはパスを要求する場所が空中とかで、気が付いているが出せないタイミングがしょっちゅうある。(パスを上に)上げることに慣れていないしリスクを感じているが、ライアンが飛ばなくなったら意味がないので積極的に出していきたい」と振り返った。
京都の外国籍選手は長時間出場していることが多いことから、SR渋谷のロバート・サクレ選手とケリー選手も2日共に35分以上出場している。伊佐HCは「どこで休ませるかが一番難しかった」という中、第3Qの終盤からファイ・サンバ選手と満原選手を投入しその時間を作った。最終Qには、前日は見せなかったサクレ選手、ケリー選手、満原選手のビッグラインアップも使い、満原選手がシャキール・モリス選手とマッチアップすることで、「そこで攻めてくるのは分かっていたので守りやすかった」と伊佐HCの采配が的中。「彼(=満原選手)がいい仕事をしてくれた」と評価した。
この日は13得点を挙げたほか、ドライブ(ドリブルでゴールに攻め込むプレー)でファウルを誘ったりアグレッシブなDFを見せたりした広瀬健太選手がヒーローに選ばれた。特に後半にはドライブでファウルを誘うシーンが光り、得たフリースローも100%の確率で決めた。「自分の良さはアタックすること」と手応えをうかがわせ、生まれて間もない長女が「初めて試合に見に来た」ことから「頑張っている姿を見せられて良かった」と相好を崩した。試合後のバックスペースでは長女のおむつを替える父親の顔も見せた。
SR渋谷は今月23日・24日、アウェーで滋賀レイクスターズと戦った後、12月8日・9日、ホームで大坂エヴェッサと戦う。山内選手は「アウェーでも黄色いTシャツを着ているファンが必ずいる。来て良かったと言ってもらえるようなバスケをしてまたホームに戻ってきたい」と意欲を見せた。