渋谷マークシティ連絡通路内で公開中の岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」の「すす払い」が行われた。10月26日・27日、11月2日・3日の4日間にわたり、延べ50人のボランティアが参加し、1年間にたまった「綿ボコリ」を掃除した。
2008年に渋谷区を恒久設置先に決定した同壁画は同年11月17日、連絡通路での一般公開を開始。以来、毎年秋にNPO法人「明日の神話保全継承機構」を中心に壁画の清掃、修復・補強作業を行っている。恒例となった「すす払い」は公開翌年に始まり、今回で9回目を迎えた。
1日約30万人以上が行き交う歩行者の通行妨げを考慮し、清掃は京王・井の頭線の終電後から始発までの時間帯に実施。幅30メートル、高さ5.5メートルの壁画に足場を組み、同NPOの呼び掛けで集まった区民や地元企業などで働く人々がボランティアとして参加し、この1年間に壁画表面に付着した「綿ボコリ」を払い落す作業を進めた。9年連続で参加する会社員・小沢吉一さんは「2003年ごろに岡本太郎記念館で、(養女・妻)岡本敏子さんに出会ったのが太郎作品を好きになるきっかけ。敏子さんが亡くなった後は、自分がバトンタッチされたという気持ちでボランティアに参加してきた」と、その原動力を明かす。さらに「これが来ると一年がそろそろ終わるなと感じる」とも。
「明日の神話」修復プロジェクトに携わり、公開後も壁画清掃や修復に関わってきた絵画修復家・吉村絵美留さんは、恒例の「すす払い」をこう振り返る。「パブリックアートをボランティアで支えているのは国内でも例を見ないもので、ここはものすごくうまくいっていると思う」とこの10年間の活動を評価する。
今後の壁画維持について、吉村さんは「今年は夏場の温度が高く、また台風による雨量も多く、例年に比べてホコリの量が多かった」とし、「湿度、熱などが絵に与える影響が心配」とした。現在、壁画の裏には6台のエアコンを設置し温度管理を行っているが、「それでも間に合わないくらい」と最近の異常気象を憂う。
全4日間にわたる清掃活動を終え、今月17日に一般公開から丸10年の節目を迎える。